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館長からのメッセージ

“できない” では、できない
2011年8月

 十年ひと昔という言葉がありますが、今日では一年ひと昔と言ってもよいほど私たちの周りは早いテンポで次々と変わっています。携帯電話ひとつとっても、最近のスマートフォンのような進化した形態・機能になるのはあっという間でした。

そういった時代ですから、おそらくどこの仕事場でも、新しいことに取り組まなければならないことが次々と起こっていると思います。もし、今までの経験や常識から考えて無理と思われることを、上司から「やってほしい」と言われたら、あなたはどう応えるでしょうか。あまりにも無謀な命令だから「できません」と断るでしょうか。それとも面白そうだから「やります」と返事をするでしょうか。

 自動車王ヘンリー・フォードは「いい技術者ほどできないという理論を知っている」という言葉を残しています。松下幸之助は、この言葉に共感して次のように語っています。

『いろいろな知識があるためにそれが妨げとなり、かえって物事をなしとげられないということでしょう。もちろん、実際にはやはり知識があるためにいろいろなことができる場合のほうが多いとは思いますが、ただその知識にとらわれてしまって“あれはむずかしい、これはできない”という考えに陥ってしまいますと、事がスムーズに運びにくくなるわけです。』 

 松下電器がはじめてアイロンを開発しようとした時、松下幸之助は、金属加工の経験はあるが電熱関係についてはまったく何も知らない技術者に、次のように命じました。

  「きみひとつ、このアイロンの開発を、ぜひ担当してくれたまえ」

  「これは私一人ではとても無理です」 

  「いや、できるよ。きみだったら必ずできる」

松下幸之助の言葉は、力強く誠意に満ちていました。
そのひと言に心を動かされた技術者は、わずか3カ月後に、松下が願った通りの低価格で便利な「スーパーアイロン」を開発したのでした。

 私たちは、これまでの体験や常識、限られた知識にとらわれて“これはできない”“これは無理だ”とはじめから決めこんでいるようなことはないでしょうか。そのような態度からは、決して新しい工夫や発明は生み出せません。まず、「必ずできる」と心の底から強く信じる考え方を持てるようにしたいものです。

展示室「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー展示室「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー(写真左)
松下幸之助の仕事哲学をご紹介しています

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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