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館長からのメッセージ

難儀もまた楽し
2011年9月

 松下幸之助の糟糠の妻むめの夫人を主人公にした「神様の女房」というドラマが、10月にNHKで放映予定です。 むめの夫人は、1896年(明治29年)に、兵庫県淡路島で井植家の次女として生まれました。19歳で松下幸之助と結婚。夫が創業した松下電気器具製作所の草創期には、経理事務を一手に引き受けながら、住み込み店員の躾や食事・風呂の世話などをして、「社員の母」として慕われました。しかし、創業当初、商売はうまくいかなかったため、家計は苦しく、日々の生活にも事欠くという状態が続き、夫に内緒で質屋通いをして生活の糧を得ていたということです。

繊細な幸之助に対して夫人は陽気な人柄でありました。夫人の考え方は「難儀はしても苦労はしない」というもので、困難であっても希望を常にもっていれば楽しく、苦労ではないと考えていました。

わずか3人でスタートした零細企業を世界的な大企業にまで育て上げた松下幸之助ですが、その過程には様々な困難に遭遇しています。むめの夫人は、幸之助が失意のときには、その生来の明るさで勇気と意欲を夫の心の中に奮い立たせることもしばしばであったそうです。

 むめの夫人の著書「難儀もまた楽し」(PHP研究所)から、いくつかの金言をご紹介しましょう。

◆“苦労”と“難儀”とは、私は別のものだと思っています。“苦労”というのは心のもちようで感ずるものだと思うのです。ものがない、お金がないというのが苦労だといわれる方がありますが、私は、これは“難儀”だと解しています。苦労は気分の問題であり、難儀とは別のものではないでしょうか。
◆「節約は美徳だ」と決して言うわけではありませんが、まだまだ十分使えて役に立つものを、わざわざ放り出して、それでゴミをためなくてもいいと思うのです。やはり物でも、それが生きているあいだは生かさなければならない、生かしてあげなければかわいそうだと思うのです。
◆どんな人でも必ず一つはいいところ、偉いところをもっていると私は信じています。取り柄というか、長所です。人にお目にかかりましたとき、いつも「この人のいいところはここにある」と思いつつ、なんとかそのいいところを学ばせていただくように努めています。  

 幸之助は晩年、次のように言ってます。「企業経営よりも家庭の経営のほうがむずかしい。夫婦円満な家庭がつくれたら、一番人間として成功ですな」

 松下幸之助の成功を、陰に陽に支えてきたむめの夫人のドラマから、学ぶべきものが多くあるのではないかと楽しみにしています。

展示室「松下幸之助スライドショー」展示室「松下幸之助スライドショー」(写真左)
むめの夫人についてご紹介しています

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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