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館長からのメッセージ

時を待つ心
2012年3月

 寒い冬が終わり、木や草花が次々と芽吹く春が訪れてきました。自然とともに、私たちの心も、何かしら心の中が明るく感じる今日この頃です。

 3月は、学校では学年最後あるいは卒業を迎える月です。また、企業では期末決算月というところも多いと思います。引っ越し・転勤が多くなるのもこの月からではないでしょうか。日本では、一年を締めくくる大事な節目の月が3月のようです。

 みなさんは、今日までの一年を振り返られて、いかがでしたでしょうか。充実したよい一年だったという人もいらっしゃれば、自分の意に反してつらく悲しい一年だったという人もいらっしゃると思います。次年度こそはと、次の一年に向けて大志を抱いておられる人もいるでしょうね。

 私も、自分の一年を振り返ると、やりたいことや、やらなければならないことが全部できていたかというと、厳しい評価をつけなければならないなと反省をしています。取り巻く環境が、大変早いテンポで変わりつつあるので、早くしなければならないと気ばかりあせって、前に進んでいないことがいくつかありました。

 私とは比べ物にならないほどたくさんの困難や課題を乗り越えてきた松下幸之助は、私のような心のあせりはなかったのでしょうか。探してみると、「時を待つ心」という文章がありましたので、ご紹介をさせていただきます。

 『「何ごとをなすにも時というものがある。時、それは人間の力を超えた、目に見えない大自然の力である。いかに望もうと、春が来なければ桜は咲かぬ。いかにあせろうと、時期が来なければ事は成就(じょうじゅ)せぬ。冬が来れば春はま近い。桜は静かにその春を待つ。それはまさに、大自然の恵みを心から信じきった姿といえよう。 
 わるい時がすぎれば、よい時は必ず来る。あせらずあわてず、静かに時の来るのを待つ。時を待つ心は、春を待つ桜の姿といえよう。だが何もせずに待つことは僥倖(ぎょうこう)を待つに等しい。静かに春を待つ姿は、一瞬の休みもなく力をたくわえている。たくわえられた力がなければ、時が来ても事は成就しないであろう。
 時を得ぬ人は静かに待つがよい。大自然の恵みを心から信じ、時の来るを信じて、着々とわが力をたくわえるがよい。着々とわが力をたくわえる人には、時は必ず来る。時期は必ず来る。
 待てといわれればなおあせるのが人情である。だが、自然の理はわがままな人情には流されない。冷たいのではない。静かに時を待つ人には、暖かい光を注ぐのである。おたがいに時を待つ心を養いたい』  (「道をひらく」PHP研究所刊より)

 ただ待つのではなく、「時の来るを信じて、着々とわが力をたくわえる」「着々とわが力をたくわえる人には、時は必ず来る。時期は必ず来る」という考え方・姿勢が大事ということですね。日々の努力の積み重ねを怠らないこと、そして松下幸之助がよく述べていた「何としてでもやり遂げようという“強い思い”」で臨むことが、事を成就させる基本のようです。3月、改めて自らの思いの弱さと努力不足を噛みしめながら、次年度に向けて精進したいと強く願っています。 

松下資料館の欅松下資料館の欅(写真左)
静かに力を蓄えながら春を待っています

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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