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館長からのメッセージ

松下幸之助商学院の開講式で思ったこと
2012年6月

5月に、松下幸之助商学院の第43期生開講式に出席してきました。当校は、1970年に、ナショナルショップ(現・パナソニックショップ)の後継者を育成することを目的に松下幸之助によって設立され、既に4,840名が卒業しています。今年度も、29名の入塾生全員が寮生活を送り、1年間、電器店経営の基礎知識とスキルを学んでいきます。

ここの塾生は、国家資格・工事担当者資格を、全国平均よりもかなり高い合格率で取得することでも有名です。研修では、中国古典を学んだり、武道や茶道を学ぶ時間もあり、徳育・体育・知育の三位一体の教育が行われています。

開講式で、影山俊彦学院長は、「知識偏重に陥らない」「人間教育を徹底する」と話され、松下幸之助の本から次の文章を紹介されました。

「人を育てるということについて、特に心しなくてはならないのは、単に仕事ができ、技術がすぐれていればいいというものではないということである。手腕や技能というものはもちろんきわめて大切だし、そういう面においてすぐれた人でなくてはならないのは当然であるが、それと同時に、人間としてというか、社会人としても立派な人であることが望ましい。仕事はよくできるが、社会人としては欠陥があるというのでは、やはり今日の時代における産業人としては好ましくない。」(「実践経営哲学」PHP研究所刊より)

このような考え方から、当校では、共同生活を通じての良好な人間関係づくりや、人としての態度を養うことに教育の重点が置かれているようです。

今日、電気製品は、量販店、インターネット、テレビなどによる広域大量販売が広く行われるようになり、地元密着の町の電器屋さんの商売は決して楽ではないと聞きます。そういう状況の中で、あえて親の後を継いでいこうという若者がいるのです。

入塾生は、開講式で「私の夢」と題して、次のような抱負を発表していました。

  • 母は休日返上で仕事をずっとしてきた。自分が手伝いをしていた時、お客さんから母の仕事ぶりにお礼を言われた。母の日々の努力が、お客さんのこうした信頼につながっていることを知り、母が立ち上げた店を継ぐ決心をした。
  • 大学時代、商品の納品などを手伝っている内に、次第に達成感・充実感が得られるようになった。高齢者が多い地域なので、電話一本でもかけつけられるような存在になり、父のような信頼される人間になりたい。
  • 自店を大きくしたい。働いている時の父は格好いい。父に恥じない人間になりたい。そして、将来、自分の子どもから「父は格好いい」と言われたい。
  • 隣町に納品に行った。なぜその隣町の電器屋さんで買わないのだろうかと思った。「他のところでは買えないよ。お父さんにいつもお世話になっているんだから」というお客さんの言葉を聞き、父が築いてきた信頼を守り続けねばならないと思った。

父や母が、人間として信頼を得て店を守り育ててきたことを目の当たりにしてきた若者が、松下幸之助商学院で徳育・体育・知育を学ぶことは、人として成長するうえで素晴らしいことだと思います。

1年間の厳しい研修を乗り越えた後は、社会の荒波に立ち向かっていかなければなりません。しかし、志を強く抱く彼らには、ぜひ、信頼される電器専門店の経営者として、地域に喜ばれる存在になってもらいたい、と心から応援したくなりました。

「松下幸之助商学院 第43期生 開校式のご案内」冊子(写真左端)と「実践経営哲学」「松下幸之助商学院 第43期生 開校式のご案内」冊子(写真左端)と
「実践経営哲学」

皆様のご来館をお待ちしております。

公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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