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館長からのメッセージ

海綿のように
2012年8月

私は現在、スマートフォンを使っています、というと格好いいのですが、たくさんあるアプリを使いこなすことができず、シンプルな機能だけにしがみついて使っているのが現状です。それにしても、モバイルフォンの進化は途方もなく早いので驚きます。

今日、私たちの周りにあるものは、早いテンポで次々と変化しています。気がついたら、家の中は新しい物で溢れかえっている、という方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。

身近な生活においてさえそういう状況ですから、世の中の動きに対応するべく、私たちの仕事の内容や進め方なども、めまぐるしく変わっているはずです。

松下幸之助は、社会の変化が早いことについて、社員に次のように語っていました。

「技術の面におきましても、製造面におきましても、刻々と変化する、その姿に相応じた製造技術というものを磨かなければならない。今、これがよく売れるからこれでいいだろうといって安閑としていたら、急速にそれが落ちてしまう。これが今日の真実の姿であると私は思います。」(「昭和40年3月1日 松下電器中堅幹部社員への講話」より)

世の中はどんどん変わっているのだから、今を見るだけではいけない、先を見て仕事をしなければならない、そのために技術も磨き続けなければならない、ということでしょうか。最善と思っていたことでも、いずれさらなる最善が求められる状況が生まれてきます。これは、物づくりだけにとどまらず、サービスや営業、情報など、あらゆる職種に通じる心しておかなければならない考え方のようです。

さらに、松下幸之助は、技術者に対して次のようなことも述べています。

「われわれはどんなことが入っても、それをつまらせたらいけない、まだすきまをおいておく。なんぼでも次々と、海綿のごとく吸収していくというような頭にならなければ、頑固オヤジになってしまう。頑固オヤジにならなくても、“頑固な人だな、あれは技術者だから頑固者だな”と、こうなる。これはいけない。技術者ほど、ものを吸収しなければいけない。技術者ほど、すべてのものを取り入れるということにやぶさかでない者はないんだと、こういうような一面も私はあっていいと思うんですね。」(「昭和48年1月6日 松下電器在阪技術担当責任者対象講話会」より)

私たちは、専門技術や知識、そして今までやってきた仕事のやり方に固執・安住する傾向があります(もちろん、そうでない方もたくさんいらっしゃいますが)。固執・安住に陥ってしまうと、せっかくのいい情報も耳に入らなくなってしまう。それではいけないのであって、世の中の変化に対応できるよう、広くアンテナを張って、海綿のようにさまざまな知恵・知識・情報を柔軟に吸収しながらそれらを仕事に生かしていく。そういった積極性を、私たちは持たなければいけないと、松下幸之助は考えていたようです。

専門の知識や技術を持つこと、一つの仕事に長じることは大切なことです。そして、そのことに誇りを抱くことは素晴らしいことです。ただ、それにとらわれすぎてはいけない。さらなる最善にチャレンジするために、素直な心で海綿のように衆知を集めなければならない。心しておかなければならないことだと思いました。

昭和42年9月27日 九州松下電器を視察する松下幸之助昭和42年9月27日 九州松下電器を視察する松下幸之助
(写真中央)

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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