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館長からのメッセージ

一人ひとりの社会的責任について
2012年9月

最近ニュースを見ていると、公衆道徳を守らない人、協調性にはなはだしく欠けている人、子育てをきちんとしない人、政治に無関心な人等、枚挙にいとまがないほど社会人として無責任な行動や考え方をする人が増えてきているように思います。またさらには、自らの権利を必要以上にあるいは当たり前のように主張し、他人を困らせ、失笑を買ったりするケースもあるようです。
気持ちよく共同生活を送りたいのは私たちの共通の願いであるはずなのに、こうした望ましくない傾向が表れていることは悲しいことです。

松下幸之助は「人間としての成功」(PHP研究所刊)という本の中で、“私たちには2つの社会的責任が課せられている”と述べていますので、少しご紹介したいと思います。
まず一つ目は、自らの本業についてです。

「もしそれぞれが互いに怠けて、レストランへ行ってもおいしくない料理を高く食べさせられる、会社員もブラブラと遊んで働かず、教師も青少年に大切なことを教えない、家庭でも主婦が主婦としての役割を果たさない、学生たちは勉強しないで遊ぶ一方である、政治家もまた社会繁栄の方策を考えないで私利私欲に走る、というようなことばかりでは、決してのぞましい社会は生まれてこないでしょう。それはひいてはその社会に住む一人ひとりにも必ずはねかえってくると思います。」

私たちは、自らの本業や仕事について、最善を尽くしてきちんと成果をあげなければならない。それを誠実に遂行することが、社会的責任を果たす基本になるというわけです。普段、こうした考えをどれほど持って、私たちは本業・仕事に就いているでしょうか。心しておかなければならないことだと思いました。

そして二つ目は、社会人、国民としての共通の社会的責任についてです。

「たとえば、社会人として公衆道徳をキチンと守るとか、互いに仲良く協調し合うとか、主権者として政治に関心をもち、投票を大事にし、政治をよりよくしていくといったこともあるわけです。また、法を守り、税金をおさめ、子弟を教育するといった社会人としての共通の責任もあるでしょう。」

ところが、私たちはこうした社会的責任をどこまで認識できているでしょうか?

「まず自分の社会的責任を自覚し、それを遂行しつつ、他の人が社会的責任をよりよく果たしていくように見守り追及するというのであればいいですけれども、いまはそれが反対になって、他の責任は声を大にして追及するけれども、自分のほうは怠っているという傾向があります。というより、そういう社会的責任を自覚さえしていないという姿が一面多いのではないかと思うのです。しかしこれではお互いの共同生活はうまく運ぶはずはありません。」

松下幸之助は、お互いに怠ることなく本業・仕事に徹することと、そして社会人として共通に課せられた社会的責任をきちんと遂行することが、よりよい社会をつくるうえで大切なことだと考えていました。私自身一人の社会人として、まず自分に課せられた2つの社会的責任をしっかりと自覚し、それを今まで以上に誠実に果たさなければならないと、この本を読んで改めて意を強くした次第です。

展示室Eゾーン映像「日本をなんとかしなければ」展示室Eゾーン映像「日本をなんとかしなければ」(写真左)

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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