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館長からのメッセージ

働くことに誇りを持とう
2012年10月

今、ギリシャは経済危機にみまわれて国の存亡にかかわるほどの大変な状況にあります。ギリシャの国難を、私たち日本人は他人事のように思いがちですが、果たして安閑としていていいのでしょうか。日本全体の債務残高を見てみると、2012年度は1000兆円を超えると予想されており、債務残高のGDP比では、日本はギリシャよりも悪い状況にあります。
そういった中、政府は東日本大震災後の復興対策に苦慮しており、国政は依然として混乱しています。また、私たち国民は福祉等の政策に大きな不満を抱き、困窮を訴え続けています。

こうした困難な状況を一日でも立て直すためにはどうすればよいのでしょうか。松下幸之助は、「道は無限にある」(PHP研究所刊)という本の中で、私たちが考えなければならない道筋のようなものを示していましたので、ここに紹介してみたいと思います。

「政府はどう言うかというと、大企業でも中小企業でも行き詰るところは助けましょう、農村も漁村も助けましょう、社会保障もいたしましょう、みんないたしましょうばかりです。そんなことはできません、とはほとんどいいません。何でもやりますというのです。しかしそのお金はどこからくるかというと、われわれ国民が働いて得る収入から、税金として納めるわけです。そうすると、われわれの働きがだんだん少なくなったら政府は何もできなくなります。ところが政府が何でもいたしましょうというので、われわれ国民は易きにつきやすいものですから、政府がなんとかしてくれるだろうと、すぐに政府をたよりにするのです。たよってはならないところを、たよりにするわけです。これはどうにも私にはわからないところです。」

「今かりに私が総理大臣になったとしたならば、『国民のみなさんが働かなければ政府は何もできません。みなさんが働いて、儲けてくださるから、その税金で、助けるべきものを助け、なすべきことをいたします。道路もつけましょう。けれどもみなさんが働いてくださらなかったら、政府は金のなる木があるわけでもないから何もできません。もっとしっかり働いてください』とでもいいたいところです。」

「今はなきジョン・F・ケネディがアメリカの大統領に就任した時、その第一声は何をいったかというと、『国民のみなさんは、今は国に何をしてもらうということを考えるべきではない。みなさんが国のために何をなすべきかを考えてもらわなければいけない』こういっているのです。ケネディはえらいと思います。」

私たちが汗水たらして働くこと、企業が創意工夫して利益を出すことが、税金として国に財源を提供することになり、それが社会政策に使われるようになる。日本の財政危機を克服するには、まず私たちがしっかりと働くことが基本になる。そのことを、私たちは再認識すべきだと思います。

それでは、私たちが働ける環境はこれからどうなるのでしょうか。
最近、「40歳定年制」という研究が行われていることに、私は関心を持っています。これは、雇用の流動性を高めながら、「二毛作三毛作」の人生を楽しめる制度、環境づくりをしていこうということのようです。年齢とともに適材適所というかたちで、一人ひとりがやりがいをもって働ける場づくり機会づくりが実現できたら、日本の財政危機克服の大きな一助になるかもしれません。

最後に一言。一生懸命働くということは、国の財源を提供し、社会貢献につながるということですから、私たちは働くことにもっともっと誇りを持ってもいいのではないでしょうか。

<参考:「40歳定年制」> http://research.php.co.jp/blog/nagahisa/2012/09/05.php

『道は無限にある』『道は無限にある』(写真左)PHP研究所刊
2冊とも松下資料館経営図書館にあります

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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