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館長からのメッセージ

悩みを解消するには
2012年12月

間もなく2012年が終わろうとしています。今年も、いろいろなことがありました。みなさんの一年は、どのようなものでしたでしょうか。仕事や経営面で大きな問題が起こった、親しい人と大喧嘩をしてしまった、健康を損なってしまった等々、それらが原因でこれから先のことが不安でたまらないとか、つらいことや悲しいことを未だに重く引きずっているという人もいらっしゃると思います。特に、大きな悩みを抱えていると、精神的にも体力的にも大変つらく重苦しいものになります。こういった悩みは、来年に持ち越したくはないものですね。
松下幸之助は、神経質な性格だったようで、毎日が悩み、不安の連続であったと言います。自著「人生心得帖」の中で、自らの悩みを解消した話がありましたので、内容をかいつまんで紹介しましょう。

従業員が50人ほどになった町工場時代に、少し悪いことをする人がおり、辞めさせようかどうか迷い、夜も寝られない状態が続いていました。ところがある時、ハッと思いつくことがありました。それは、日本に、法を犯して監獄に入っている人が仮に10万人いるとすれば、刑法にふれないで見逃されている軽犯罪者がその5倍も6倍もいるのではないかと思いついたのです。でも彼らは日本から追放されてはいない。天皇陛下の御徳をもってしても、悪いことをする人を完全になくすことはできない。それが現実の日本の姿である。天皇陛下でもできないことを、一町工場の主人にすぎない自分がしようと思ってはいけない。そのように考えると悩みが消え、その人を許す気になったそうです。そして、そういう考えに立つと大胆に人を使えるようになった、ということも書かれていました。
松下幸之助は、それからというもの、日々の悩みや不安動揺があっても、物事の考え方を違った面からも見直すようになり、その結果、後々のプラスになることが多かったと述べています。

「今日のように変転きわまりないめまぐるしい環境の中で、次々に生じてくる新しい事態に直面して、そこに何らの悩みも不安も感じないということはあり得ないと思います。あれこれと思い悩むのが人間本来の姿でしょう。しかし、だからといってただいたずらに不安動揺し、それにおびえてなすところがないということでは困ります。やはりお互いに、日々、悩み、不安を感じつつも、敢然としてこれに取り組み、そこから一つの見方にとらわれずにいろいろな考えを生み出すよう努めていく。そうすれば物の見方にはいろいろあって、一見マイナスに見えることにもそれなりのプラスがあるというのが世の常の姿ですから、そこに悩みや不安を抜け出し克服していく道も開けてきます。つまり、それらが悩みや不安ではなくなって、ことごとく自分の人生の糧として役立つという姿が生まれてくると思うのです。」
「人生心得帖」(PHP研究所刊)

悩みが生じて苦しむ時、物事の一面だけを見てそれにとらわれていないかどうか、とらわれた見方考え方をしているから悩んでいるのではないだろうかと、そう考えて一つの見方にとらわれず前向きに考える努力をしてみてはどうでしょうか。もしかしたら、私たちが抱えている悩みは、違った面からみると、案外、解消されるかもしれません。
松下幸之助は、富士山を例えに次のようなことも教えてくれています。

「富士山へ登る道は一つではない。だから、時と場合に応じて、自在に道を変えればよい。一つの道に執着すればムリが生じ、ムリを通そうとすれば行き詰る。」
松下資料館 展示パネル「富士山は西からも東からも登れる」より

いかがでしょうか。今一度、自分はとらわれた考え方見方をしていないかどうかと、心を広くして自らを見つめ直してみるのも、時にはいいのではないでしょうか。みなさん、もうすぐ2013年になります。悩みを早く解消をして、スッキリとした気持ちになって、新しい年を迎えませんか。

展示パネル「富士山は西からも東からも登れる」展示室「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー(写真左)
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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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