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館長からのメッセージ

衣食足りて礼節を知る
2013年1月

新年明けましておめでとうございます。本年も、みなさまが心地よく見学や学びができるよう、松下資料館スタッフ一同、精いっぱい心掛けてまいりますのでよろしくお願い申し上げます。

お正月は、いつもより美味しい料理をいただき、少し着飾って初詣等に出かけられた方が多いと思います。こうした新年を祝う風物詩は、心が改まり「よし、今年もいい年になるよう頑張ろう」という気持ちにさせてくれるので好ましく感じます。しかし、最近は普段でも美味しいものを食べ、お洒落な衣服を身にまとうことが、一般的に普通になっていて、お正月の晴れやかな雰囲気が少し薄らいできているように思えます。それがいいかどうかは別にして、それだけ日本は豊かになり、諸外国に比べて衣食が足りてきているのではないでしょうか。
中国に、「衣食足りて礼節を知る」という古くからある諺があります。今日の日本は、どうでしょうか。衣食は足りているが、公衆道徳を守らない人とか凶悪な犯罪者が増えてきているように思えます。松下幸之助も、世の中がそのような傾向にあることを感じていたようです。

「衣食だけではいかんのだ、衣食と同時に人間として修めるべきもの、教えるものを教える、いわば徳育ですか、そういうものと並行してやったときに初めて、衣食だけ足れば礼節を知るんであると、しかし、衣食だけ足らしただけでそのほうをほっておけば、かえって体に力がついて悪いことをよけいしよる。」
「松下幸之助発言集 第12巻」(PHP研究所刊)

物の面だけ衣食を足らせても人の礼節が良くなるとは限らない。そこに、人間としての徳育が行われなければならない、と言うことでしょうか。
さらに、松下幸之助は、「清貧といえども貧困は罪悪である」とも言っています。これは、貧困者は罪悪人という意味ではなく、貧困そのものが罪悪という考え方です。

「ここにおられる方々も、ほんとうに貧すれば鈍するという境遇におかれれば、悪いことはしないまでも、少なくとも義理は欠くようになるでしょう。それが一歩進めば罪です。だから貧困を与えてはならない。貧困を醸成してはならない。これが人間生活の基本にならなければいかんと思うのです。」
「松下幸之助発言集 第36巻」(PHP研究所刊)

松下幸之助は、「物心両面の調和ある豊かさによって平和と幸福をもたらそう」と、PHP運動を推進していました。貧困をなくして徳育を行う、松下幸之助はそれが平和と幸福を実現する道につながっていくと考えていたのです。
年が改まりました。世界の模範になるような衣食足る社会、そして礼節を知る社会づくりを、今年もみんなで実践していきましょう。

※PHPとは、“PEACE and HAPPINESS through PROSPERITY”の頭文字をとったものです。

昭和21年11月3日創始「PHP研究とPHP運動」昭和21年11月3日創始「PHP研究とPHP運動」(写真左)
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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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