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館長からのメッセージ

日本人として
2013年2月

最近、ボーダーレスの社会になりつつあるからでしょうか、また政治や経済など社会全般が混迷しているせいでしょうか、私たち日本人は、日本人であることの自覚や誇りを持つ精神が薄れてきているように思われてなりません。果たしてこのまま見過ごしていていいのでしょうか。今月は、日本人としての物の見方・考え方を改めて問い直してみたく、松下幸之助のいくつかの著作から参考となる文を集めてみました。

「今度生まれてきたら、また日本に生まれたい。そして日本の国をよくするために働けたら結構やなということを感じています。ほかの国に生まれるという気は全然ありませんな。日本ほどいいところはないと思うんです。二千年の伝統というものを顧みたら、たくさんいいところがありますもんな。日本の欠点を言う人もありますけれど。確かに欠点もあるけども、欠点以上にいいところがたくさんありますよ。」
「松下幸之助発言集 第15巻」(PHP研究所刊)

松下幸之助は、日本人としての誇りを持ちながら人生を送っていました。そして、日本がさらにいい国になることを願い、その実現のための努力を惜しみませんでした。

「どこの国でも、その国の伝統があり、またその国々において立派なものを持っておると思うのです。ですから、他の国に比べて、日本がとくにすぐれた国だなどと言うことは遠慮すべきだと思いますが、しかし、他の国に向かっては別として、われわれ日本国民の立場として、われわれ日本人同士で、日本という国はほんとうに立派な国であるということは十分に話し合っていいと思います。」
「一日本人としての私の願い」(実業之日本社刊)

日本には、今日でもいいところがたくさんあります。その良いところをお互いに話し合い、見出しながら実践しようと、松下幸之助は訴え続けていました。

「“よいことは負けないでやろう”という精神は、何としても残していかねばならないと思います。私の若いころには、掃除一つをとっても自分の家の前だけでなく、向こう三軒両隣の家の前も掃除したもので、お互いにお隣さんに負けずにやろうというところがありましたが、こうした気がまえが最近あまり見かけられなくなったのは、少々残念なことです。そういう日本の社会のよさは、ぜひもち続けたいものです。」
「リーダーになる人に知っておいてほしいことⅡ」(PHP研究所刊)

グローバル化が進む社会の中で、日本の伝統精神を見直すことは時代遅れと思われる方がいらっしゃるかもしれません。しかし、松下幸之助は、グローバル化が進んでも日本の社会のいいところを大切にして、日本人としての誇りと謙虚さを持つべきだと考えていました。

「外国へ行ったり、外国人と交際したりする前には、まず自分の国というものをよく知らなければならない。お互い日本人であれば、日本の長所と短所というものをチャンとかみわけて語れなければならない。長所についても遠慮なく話し、短所のほうも聞かれたときにはハッキリと答える。そして結論としては、『日本人は世界に奉仕しています。私どもを友人にして下さることはあなたのおトクです。決してあなたのご迷惑になったり、名誉を傷つけるようなことはいたしません』というようなことを、信念をもって語れる人であってほしい。」
「『私どもの国日本はダメです。いいものは何一つありません。私ども日本人もまことに頼りない国民です。信用したらいけません。』というようなことが、不用意にも口をついて出るというような心境であってはならない。そういうことでは、日本はやはり信頼される国にはならないだろうし、ひいてはそういうことをいっている本人も信頼されないだろう。私は、そういう人には、外国へ行ってほしくないと思う。いや、外国へ行く資格がないとさえ思うのである。」
「若い君たちに伝えたい」(講談社刊)

日本には素晴らしいものがたくさんあることを、私たちはもっと知るべきです。その良さを私たち自らが知らなければ、その良さはだんだんと失われていくことでしょう。グローバル化が進む時代だからこそ、世界から学ぶべきことは積極的に学ぶとともに、外国の方々に信頼されるよう日本の良いところを見直してそれを育み実践していく、そして日本人としての誇りをお互いに持てるよう心がけたいものです。

昭和41年 茶室にて昭和41年 茶室にて
(写真左)

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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