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館長からのメッセージ

プロフェッショナルとしての責務
2013年3月

三月は花見月、桜月という季語があるように、草木がだんだんと芽吹いてくる時期です。明るい陽ざし、心地よい風は、私たちの心をさわやかにしてくれます。春はまさに自然の恵みを実感できる季節と言えるのではないでしょうか。
松下幸之助は、自然の恵みについて次のように述べています。

「天地は、私心なく、わけへだてなく、変わりなく、すすんでその恵みを与え続ける。分別もなく感謝もなく、酬(むく)われもないけれど、それでもなお天地はその恵みを与えつづける。つまりは天地は、積極主義なのである。積極主義なればこそのこの恵みなのである。生成発展なのである。」
「続PHP道をひらく」(PHP研究所刊)より

松下幸之助は、「人間を考える」という著書の中で、“万物はすべて生成発展する”と書いており、我々人間も野山の木々が毎年年輪を加えていくのと同じように、今年よりも来年と一年一年成長していかなければならないと考えていました。
このことは、私たちの仕事姿勢にも言えるのではないでしょうか。例えば、私たちが就職した頃、誰でも初めは仕事を覚えるために一生懸命に取り組んでいたと思います。ところが、仕事を一通り覚えてしまうと慣れが生じ、気がつくと受け身で仕事をしていたり、最初の頃の必死さや感動を忘れて、“面白くない”といった不平・不満を漏らしたりするようになります。そして、知らずしらずのうちに、自ら成長することを止めてしまったり忘れてしまうという状態に陥ることも考えられます。

「月給をもらうということは、いいかえればその道において自立したということであり、つまりはプロの仲間入りをしたということである。もはやアマチュアではない。そうとすれば、芸能界やスポーツ界の人びとと同じく、またプロとしてのきびしい自覚と自己練磨が必要となってくるはずである。おたがいにプロとしての自覚があるかどうか。」
「PHP道をひらく」(PHP研究所刊)より

プロフェッショナルの道は切磋琢磨の連続で、それを怠れば道が閉ざされかねない厳しい世界です。松下幸之助は、万物全てが生成発展をするのに、自分だけは努力も勉強もしなくていいということは許されない、ましてや月給をもらう私たちは、自立したプロフェッショナルなのだから、自己研鑽は当然しなければならないと思っていたようです。

「たとえば私たちの社会で、すべての人が一段ずつ進歩したとするならば、社会全体もそれによって一段向上することになります。ところが他の人がみな三段進歩したのに自分は一段しか進歩していないということになれば、そのことによって、社会全体の平均の段数は三段上がらないことになります。つまり、自分一人のために全体の水準の向上が犠牲になるわけです。ですから、自分の教養を高めるとか、自分の技術を向上させるとか、あるいは健康な体をつくるということは、自分を幸せにし、また自分の社会的地位を高めるということなどのためばかりでなく、社会の一員としての共通の責任であり義務であると考えなければなりません。そういう義務感というか、社会の一員としての連帯感というものを、私たちは一人ひとり、よく認識しておく必要があると思うのです。そう考えると、逆に自分が勉強するもしないも、それは自分の勝手だ、といった態度は許されないということになってくるわけですが、その点、皆さんの意識はいかがでしょうか。」
「社員心得帖」(PHP研究所刊)より

私たちは社会とともに歩む存在です。ですから、社会が進歩していくことに歩調を合わせる義務があるのです。ましてやプロフェッショナルとして働いている私たちは、その自覚をしっかり持ちながら、自分のためだけでなく、社会のためにも自己研鑽・自己鍛錬を惜しまずに行わなければならないのではないでしょうか。
4月からは、新入社員も入ってきます。先輩社員は、自立したプロフェッショナルとしての責務を改めてかみしめて、後輩を受け入れる準備をしていきたいものですね。

映像視聴コーナー展示室「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー
松下幸之助の肉声による映像がご覧いただけます

皆様のご来館をお待ちしております。

公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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