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館長からのメッセージ

自主独立の精神
2013年5月

松下幸之助は“経営の神様”とよく言われていました。NHKのテレビ番組に松下が出演した時、“神様”と呼ばれてどう思われますかと聞かれ、「通称のようなもので慣れました。違いまっせといっても、仕方ない。」と笑いながら答えていました。当時は、大人であればほとんどの人が知っていたというほど有名な経営者でした。
“経営の神様”であった松下は、人間が行う活動はすべて経営ととらえるべきだと考えていました。次のエピソードは、その一例です。

ある時、PHP研究所の研修講師だった岩井虔氏が松下と雑談をしている中で、家庭のあり方が話題になったそうです。その岩井氏には奥さんも子どもさんもいました。「君は一家の主人やな」ということから、次のようなことを松下は言ったそうです。

「主人といえば、家庭の経営者やな。経営者なら、夢を語り、方針を示さないかんと思うんやが、君は奥さんやお子さんに、“五年後の岩井家、十年後の岩井家をこうしよう”ということをちゃんと言うて、協力を求めているんやろうな。」
「松下幸之助 元気と勇気がわいてくる話」(PHP研究所刊)より

岩井氏は、家庭の経営者ということを聞いて大変驚いたそうです。その後、“家庭も経営”ということが頭に浮かんできて、反省したりすることがあったと著書の中で述べておられます。

また、松下は、経営は自主独立でなければならないと考えていました。他に依存しないことが経営本来の姿である。自分の幸せは自分がつくりだすんだ、という気概のある生き方・考え方を個人や企業・団体に推奨していました。

「今は、すべての人と申してはお叱りをこうむるかも分かりませんが、ほとんど多くの人、あるいは一つの会社、商店にいたしましても、必ず他に依存するということが、さも当然のごとく、国民は何をするにしても、国に、何かしてくれるだろう、国が何かするだろう、国が助けてくれるだろう、国が協力してくれるだろうと、全部国に依存している。で、自分がうまくいかん場合には、環境が悪いんだ、国の政治が悪いんだと、全部原因を他に求めて、そしてものを判断しようとしているきらいがあります。」
「大阪府門真市成人式での話 昭和42年1月15日 72歳」より

こうした依存傾向を日本国民が持ち続けていると、日本国民は弱体化していくと警告していました。経営とは、他に依存せずに自主独立の精神でもって行わなければならない。自分の幸せは自分がつくり出すんだという気概が、生きがいある人生、よりよい社会の実現につながることを、松下幸之助は多くの体験を通して実感したのでした。
私たちは、普段、自分を経営するということをあまり考えることはしません。しかし、ただ漫然と人生を生きるのではなく、自分にはどういう志や夢があるのか、その実現のために計画し実践しているか、関係者とそれらを共有しているのか、等々について自らを振り返る姿勢を持つことも大切ではないでしょうか。もし、そういったことが実践できれば、あなたも“経営の神様”になれるかもしれません。

映像視聴コーナー展示室「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー
松下幸之助の肉声による映像がご覧いただけます

皆様のご来館をお待ちしております。

公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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