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館長からのメッセージ

やる気にさせる極意
2013年6月

部下から提案があり、わざわざ取り上げるほどでもない内容であったとしたら、あなたは上司としてどのように受け答えをするでしょうか。「もっと気のきいたことが言えないのか」「こんなんじゃ、だめだ」「この忙しい時に、そんなこと言ってくるな」等々、出鼻をくじいたり、けなしたりしてはいないでしょうか。「フン・・・」と無視する人がいるかもしれませんね。
松下幸之助は、たとえ取るに足りないような提案であっても、「それはつまらない」と言ったり、相手を無視するようなことはしなかったそうです。どんな場合でも、「いい意見やなあ」といつも感心した様子でほめてくれたと、薫陶を受けた多くの方々が証言しています。

また、松下幸之助自身も、次のように語っています。

「みんながわが事のように考えを述べる。それが入れられる、入れられない場合でも、提案したということを称賛される。そのことは用いられない。四囲の事情でまた見方によると、それは今無理であるということがたくさんある。しかし、提案をしたということがいかに尊いことであるかということが、同時にその人に植え付けないけない。それを、『こら君、こんなんあかんで』と、こういうように、たやすくこれを葬るということは、絶対に私は禁物だと思うんです。」
松下資料館展示視聴ブース「部下の提案を喜ぶ」の映像より

部下が喜び勇んで仕事をするように上司は指導しなければいけない。部下が提案しやすいように、たえずそれを受け入れる体制を心の中にもっていなければならないと、松下幸之助は責任者に説いていました。

「部下の提案に対して、『いや君だめだ』と言う。また来る。『ああ君、これもだめだ』と言うようなことでは、『提案してもムダだ、やめておこう』ということになり、決まった仕事しかしなくなってしまうでしょう。それでは、進歩も向上も生まれてこないのです。」
「松下幸之助 一日一話」(PHP研究所刊)より

私も昔を思い出すと、ちょっとした提案やささいな意見具申であっても、上司からほめられると嬉しくなって「もっと頑張るぞ!」という気持ちになったことがよくありました。人間はほめられると、信頼されているという気持ちになりやすいものです。信頼されれば、それに応えようとするのが私たち人間なのではないでしょうか。

松下幸之助は人を活かすとき、長所6分短所4分で長所を見るようにしていました。短所を中心に人を見ていると、誰も彼もが物足りなく感じられ、いきおい使うときにも躊躇が生まれやすい。部下にしても、短所ばかりを見られれば面白くありません。長所を見ていかにやる気を持たせるかということに、松下幸之助は重きをおいていたようです。
部下一人ひとりは、ダイヤモンドの原石のように磨けば光り輝く素晴らしい存在であると、松下幸之助は考えていました。だから、「いい意見やなあ」と提案する行為をほめたり、長所を中心に見ながらやる気を促していったようです。

これは、仕事を通しての部下育成だけではなく、家庭や学校でも応用できるやる気醸成の極意と言えるものではないでしょうか。

映像視聴コーナー展示室「経営者・リーダーの条件/人材育成の考え方」コーナー
松下幸之助の肉声による映像がご覧いただけます

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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