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館長からのメッセージ

与え与えられる
2013年8月

松下幸之助の次の文章から、あなたはどのようなことを感じますか。

「たとえば、君が、課長と一緒に夜遅くまで残業をしたとする。そうすると、君は若いから元気でも、相当年配の課長には、疲れが感じられることもあるだろう。そんなときに『課長、ひとつ肩でももみましょうか』ということが言えるかどうか。」
「松下幸之助 社員心得帖」(PHP研究所刊)より

さて、いかがでしょうか。
「何でそんなに媚びへつらわなければならないの?」
「仕事をきちんとすればいいのであって、そんな余分なことは無意味だ。」
「肩をもんでほしいなら、家で奥さんにもんでもらえばいいじゃない。」
「残業して遅くなっているのだから早く帰ります。」
ごもっとも。では、松下幸之助はこのことについてどのように考えたのでしょうか。

「会社は仕事の場なのだから、そんなこと言う必要もないといえば確かにそのとおりである。しかし、もし君がそういうことをひと言、ふっと言ってあげたら、それは、どれだけ課長の慰めとなることか。『じゃあ、もんでくれ』と言う場合はめったにない。たいていは『いや、結構だ。ありがとう』と言うにちがいない。しかしそのひと言で、課長の心には、アンマ(※)をしてもらった以上の喜びが生まれる。そして課長の口からは、『遅くまで引き止めてすまんな。デートがあったんとちがうか』といったなごやかな言葉が出るだろう。ぼくはそういう心のかよいあいの中に、仕事がはかどり、ものを生み出す原動力があると思う。」
「松下幸之助 社員心得帖」(PHP研究所刊)より ((※)発刊当時の表現をそのままにしています)

私たちは、多くの恩恵を受けると嬉しいものです。ところが、心を閉ざし周りへの配慮をしないでいると、恩恵を受けるどころか孤立してしまい周りとの関係もギクシャクしかねません。
世の中は与え与えられるのが基本ですから、多く受けたいと思えば多く与えなければならないのではないでしょうか。充分に与えもしないで、多くを受けたいと思うのは、虫のいい考えというものです。世の中が、このような自分の心を閉ざした人ばかりになってしまうと、職場だけでなく家庭も社会も心が通い合う協力し合える姿は生まれません。与えるのは物だけではありません。誠意や真心から出た相手を思いやる言葉や行動でもいいのです。
たまには、与えることができているかと、自らを振り返ることも大切なことではないでしょうか。

「松下幸之助 社員心得帖」「松下幸之助 社員心得帖」
2冊とも松下資料館経営図書館にあります

皆様のご来館をお待ちしております。

公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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