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館長からのメッセージ

まず人間教育を
2013年9月

高知市の株式会社ビスタワークス研究所から送られてきた「ビスタワークスかわら版 第4号」に、ネッツトヨタ南国株式会社の新人研修についての紹介記事がありました。その中の一文を、まず読んでいただきたいと思います。

「初めてのお給料。その中から、家族へ感謝の贈り物をするのはあたりまえ。それだけではなく、感謝の気持ちを手紙にしたため、ご本人の前で朗読する、というのも新入社員の務めです。そしていよいよ新人研修もクライマックス。最後の仕上げは、目のご不自由な方やご高齢の方の四国霊場八十八カ所のお遍路参りの同行・介添えをする『バリアフリーお遍路研修』です。特別な事前学習などはおこなわず『しっかりとお役に立って来なさい!』と、メッセージはこれだけ。なにせ心優しい新人たちですので、初日からアレやコレやと一生懸命にお節介を焼くのですが・・・実はこれが参加者の皆さんにとっては大きな迷惑になるのです。『あなた、私が可哀想な人だと思ってない?』と、そんなことを言われることも。そう、先入観が人間関係を壊してしまうことを、身をもって学ぶのです。相手に思いを寄せ、その立場に立ち、何を感じているのかを想像しながら行動する。5日間の旅を終えた解散式は涙、涙で別れを惜しみつつ帰路につきます。」

この研修では、スキルや知識を蓄積するような要素はほとんどなく、生き方、すなわち人間関係の築き方を学ぶようです。それは自動車販売を通した日常実務においてもまったく同じで、人間関係の築き方の質を高めることがすべての源泉となる、と人材育成のお手伝いをしているビスタワークス研究所は考えているようです。

松下幸之助は、人間教育について次のように述べています。

「文化が高まって教育が普及したならば、それでええかというと、そんなもんやないです。文化が高まって教育が普及して、かえって悪くなるということも実際にあるわけです。そういう国もあるわけです。そこに非常に人間の人間たる難しさがあるわけです。(中略)人間は王者でありながら王者たることを知らず、悟らず、人間の醜さを発揮するというようなことを盛んにやっています。これが、今日、文明国の教育に生きてるかというと生きてない。文明国の教育に生きてない。徳育というものを忘れてる。体育とか知育とかそういうもんは、スポーツなんか、もう特に盛んであります。けれども、徳育、人間として何が大事かという教育をしてない。人間教育をしてない。人間教育をやらないかんです。人間教育をやれば生産性も上がってくる、言わずして上がってくるということに結びつくわけです。」
(松下幸之助 1983年5月10日 国際生産性シンポジウム講演より)

知識や技術はあくまで道具にすぎない。そうした知識や道具を適切に使いこなせるように、人間自身が高まっていくことが大切である。人間の高まりなくして、いかなる知識を与えても意味がない。人間としての徳が備わり、道徳観の高い人材で構成されている企業や社会は、間違いや犯罪が起こりにくいためムダが少なくなって生産性も向上する。「やはり人間そのものを高めるというか、その人自身を立派に高めていくという教育が必要で、これが本当の教育だと私は思うのです。」と松下幸之助は考え訴え続けていました。

ネッツトヨタ南国の人材育成は、まさに人間としての質を高める徳育が中心になっています。すばらしい会社だと思います。

DVD「まず人間教育を」(1983年5月10日 国際生産性シンポジウム講演より)DVD「まず人間教育を」
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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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