松下資料館 トップページ>館長からのメッセージ

館長からのメッセージ

鳴かずんばそれもまたよしホトトギス
2014年2月

織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の3人の性格の違いを、鳴かないホトトギスに例えて次のような句で紹介されているのはみなさんよくご存知だと思います。
  ・織田信長「鳴かずんば殺してしまえホトトギス」
  ・豊臣秀吉「鳴かずんば鳴かしてみせようホトトギス」
  ・徳川家康「鳴かずんば鳴くまで待とうホトトギス」
松下幸之助は、この3つの句に対して、こう述べています。

「3人ともホトトギスが鳴くということを期待している。つまり、鳴くということにこだわっていると思う。私は、何ごとも何かにこだわっていたらうまくいかないと思っている。だから、私はどういう態度で臨むかというと“鳴かずんばそれもまたよしホトトギス”といったところだ。」
「キーワードで読む 松下幸之助ハンドブック」(PHP研究所刊)より

流れる水がいかなる障害物に出会ってもさらりと回って流れ続けるように、一つの見方考え方にとらわれるのではなく、自由自在にものを見、考え方を変えられる融通無碍(ゆうづうむげ)の大切さを松下幸之助は説いています。「素直な心になるために」という著書の中で、融通無碍とは物事に対して臨機応変、自由自在にとりくむことのできる心と述べています。
私たちは、いい考え方や方法にこだわって、これしかないと思う傾向があります。そして、これはいいからと、他人に無理強いすることもあります。

「何か一つのことを求めて、これがいちばんいいんだ、これがいちばんいいんだというて、おまえもこれに従え、おまえもこれに従えというようなことを言う人が非常に多い。ある程度私はそれでいいと思う。しかしそれに固執して、それしかないと思ってしまうと、たいへんな間違いが起る。そして幾多の人が困る。その人の力が強いほど困るわけです。」
「松下幸之助発言集 第11巻」(PHP研究所刊)より

自分はこれが一番いいと思っても、別の面からみれば最悪であるかもしれないのです。考えに幅がないと窮屈になります。ひとつのことにこだわったり、とらわれてはならない、常に融通無碍を心がけて物事に対処すべきだということです。さらには、失敗したりつまずいたりすると、私たちは思いつめて息苦しい状態やゆきづまった考え方に陥りがちですが、この融通無碍を意識すれば、努力すれば何とかなる、死んだつもりで一生懸命やればやがてよい方向に向かうだろうと思いなおすこともできるのではないかと思います。
“鳴かずんばそれもまたよしホトトギス”の句は、とらわれない心、そしてこだわり過ぎに陥らない広いのびやかな心を、私たちに教えてくれているように思えます。

「キーワードで読む 松下幸之助ハンドブック」「キーワードで読む 松下幸之助ハンドブック」
松下資料館経営図書館にあります

皆様のご来館をお待ちしております。

公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

過去の記事はこちら最新の記事はこちら