松下資料館 トップページ>館長からのメッセージ

館長からのメッセージ

勝って兜の緒を締めよ
2014年5月

「喉元過ぎれば熱さを忘れる」ということわざは、みなさんよくご存知だと思います。苦しいと思っていたことも過ぎてしまうと、つらかったことやお世話になった恩義を簡単に忘れてしまうということです。私たちは、平穏・平和な状況が長く続くと、“熱さ”を忘れ、危機感が薄れて平和ボケといった状況に陥るとも限りません。
松下幸之助は、順調時に心がけなければならないことについて、次のように述べています。

「人間というものは、順調にいきますと、苦しいことを忘れるものです。順調にいっても、苦しいことを忘れない人が偉いのである。昔、歴史上の偉い人がいうたんだろうと思いますが、『勝って兜の緒を締めよ』という言葉がございます。これは非常にそれを戒めたものである。人間というものは順調にいくと、世の中がアホみたいに見える。おれは偉いけど、世の中はみなアホだと、こういうように見えるんです」
「人生と仕事について知っておいてほしいこと」(PHP研究所刊)より

うまくいっている時、順調に推移している時にこそ、増長することなく、問題が潜んでいないか、将来危機が訪れるのではないかといったことに考えを巡らす努力をしたいものです。そのためには、心を遊ばせないで兆しに敏感に気づくようにしなければなりません。ただ漫然と日々を送ってはいけないのです。

「私の体験から申しましても、三回、事が成功すると危険です。三べんとも成功すると危険ですね。三べんに一ぺんはちょっと失敗すると、これは失敗したことになる。三べんやって二へん成功し、一ぺん失敗しということが連続していくと、やや過ちがないようにいくのやないかと思うんです。」
「人生と仕事について知っておいてほしいこと」(PHP研究所刊)より

失敗ばかりではどうしようもないが、たまに失敗することにより、心が引き締まり、このような失敗が二度と起こらないようにと、何らかの手を打つようになる。そういった意味では、失敗を恐れる必要はないということが言えるのかもしれません。とはいうものの、大失敗を引き起こすようなことではいけない。人間はたわいのないもので、調子よくいくと調子にのってしまいがちです。勝って兜の緒を締めていきたいものです。

「人生と仕事について知っておいてほしいこと」「人生と仕事について知っておいてほしいこと」
松下資料館経営図書館にあります

皆様のご来館をお待ちしております。

公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

過去の記事はこちら最新の記事はこちら