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館長からのメッセージ

商売と心意気
2014年7月

松下幸之助さんは次のような体験をし、本にそのことが紹介されています。

「昭和39年、幸之助は、北海道のあるメガネ屋から一通の手紙を受け取った。
『先日、テレビであなたの姿を拝見しましたが、失礼ながら、メガネがあなたのお顔にはあまり合っていないようですので、お取り替えになったほうがよろしいかと思います』
ずいぶん熱心な人がいるものだなと思い、すぐ礼状を出したものの、幸之助は忙しさにとりまぎれ、そのことをすっかり忘れてしまっていた。
翌春、札幌の営業所の集まりで講演したとき、その主人が面会を求めてきた。
『以前、あなたにお手紙をさしあげたメガネ屋です。メガネは、あのときと変わっていないようですから私の手でぜひ直させてください』
その熱心さに幸之助はすべてを任せることにした。
幸之助はきいてみた。
『なぜ、あなたは、わざわざ手紙をくださったんですか』
『メガネをかけるのは、よく見えるようにするためですが、メガネは人相を変えるものでもあり、顔にうつるメガネをかける必要があります。もし、あなたが、あのメガネをかけてアメリカへ行かれたら、アメリカのメガネ屋に日本にはメガネ屋がないのか、と思われかねません。ですから、それを防ぐため、私は失礼を顧みず、あえてあんなお手紙を出させていただいたのです』
幸之助は大阪に帰るや、社員にさっそくこの話を披露し、『お互いにこのメガネ屋さんのような心がまえ、心意気で仕事に取り組みたいものだ』と呼びかけた。」
「キーワードで読む 松下幸之助ハンドブック」(PHP研究所刊)より

この北海道のメガネ屋さんの商売姿勢、みなさんはどのように感じられたでしょうか。どんなにいいメガネを扱っていたとしても、ただ売らんがために手紙を出したのでは、おそらく幸之助さんは、わざわざ北海道のメガネ屋さんで買うことはなかったのではないでしょうか。
日本には立派なメガネ屋があることを、日本を代表する経営者である松下さんのメガネを通して、アメリカに伝えたい・・そういう使命感からこのメガネ屋さんは手紙を出したのです。この強い使命感に心打たれたからこそ、幸之助さんは任せようという気持ちになったのでしょう。
このお店を訪れた幸之助さんは、メガネの総合デパートともいうべき立派な店構えに驚くとともに、懇切丁寧なサービスに大いに感心をしたそうです。メガネという商品を通して、プロフェッショナルとしての誇りをもつとともに、お客様に満足していただくために誠心誠意提案していこうという心意気・気概にも強く感じ入ったようです。

さて、私たちは仕事をただ何となくこなしているということはないでしょうか。
・仕事に精通し、プロとしての自覚と誇りをもって取り組んでいるか
・仕事の意義を理解し、そのことを使命感にまで高めているか
・一人でも多くの方に、商品やサービスの利便性や効用を訴えていこうという心意気・気概をもっているか
今一度、自らを振り返ってみたいものです。

電波新聞正月広告用に撮影された写真昭和40年12月16日
電波新聞正月広告用に撮影された写真

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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