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館長からのメッセージ

自分で自分を育てる
2014年8月

松下幸之助さんについて、次のようなエピソードが残されています。
入社二年目のある社員が社内新聞担当になった異動初日、できあがった新聞を松下幸之助に届けに来ました。幸之助は新聞を手にするなり矢継ぎ早に質問をしました。
「これは何部発行しているのかね」
「一部当たりの原価はなんぼや」
社員は「わかりません」としか言えませんでした。
「前はどこにおった」
「営業をやっていました」
「営業をやっていて、パッと新聞を見たとき、これが一部なんぼでつくられ、何部発行されているのか、そういうことに興味をもたんようではあかんやないか。ただ持っていけと言われて、ハイと言って持ってくるだけだったら子どもと同じやないか」
幸之助は、指示された通りのことをするだけでは仕事の幅は広がらない。指示されなくても、進んで上司や先輩から学ぶ自得の姿勢があって初めて実力が養われるのだということを教えたそうです。 (参考「松下幸之助 ビジネス・ルール名言集」PHPビジネス新書)

「会社は皆さんを立派に育てるということに没頭することはできないと、私は思うんです。職場を与え、仕事を与え、そしてある要望をするということです。その範囲において皆さんが、いかにそれをやらなくてはならんかを考え、そこにいろいろ工夫をされて、みずからを育てていくという覚悟がなくてはいけないと思うのです。」
「人生と仕事について知っておいてほしいこと」(PHP研究所刊)より

ところが・・いい上司のもとで働くことができれば問題はないが、そうでない上司のもとではやる気がでない・・私が若かった頃、このようにぼやいていた学生時代の友人を思い出します。確かに、いい上司ばかりとは限りませんから、そのもとで働く部下は大変です。

「うまく自分を導き育ててくれる指導者がおれば、それは皆さんの苦労も少なくなるが、しかしそうでない場合には、悲観するか、希望を失うか。それでは何にもならない。むしろ私は、そういう適切な指導者をもたない場所においてみずから考案をしてやっていくというところにこそ、ほんとうの陶冶(とうや)ができる、ほんとうの修練ができると思うんです。」 
「人生と仕事について知っておいてほしいこと」(PHP研究所刊)より

悲観しただけでは何の解決にもつながりません。道はひらけてこないのです。「何が正しいことなのか」「自分ならどうするか」等、自分なりの考察や工夫をするチャンスと捉え、それをやってみる。そこに自分を高める機会が生まれてくるのではないでしょうか。幸之助さんは、適切な指導者がいなくても、みずから考案してやっていくことが、ほんとうの修練となり、成長もできると考えることが大切だと言っています。まずは、“自分で自分を育てる”ことを基本に、仕事・人生に取り組んでいきたいものです。

映像視聴コーナー「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー
松下幸之助の肉声による映像がご覧いただけます

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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