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館長からのメッセージ

ただ得ようとするだけでは
2014年9月

A君は、最近不満に思うことがありました。それは、A君が強く希望していた部門に、同期入社のB君が異動になったからです。A君は異動希望を出していましたが、B君は希望を出していませんでした。なぜ、希望を出していた自分ではなく、希望を出していなかったB君なのか・・。A君は、上司に不満をぶちまけました。
上司からは次のような答えが返ってきました。
「君は、今の部門での仕事が嫌だという理由で、あまり努力をしてこなかったね。君がどれほどの実力があるのか、今のやる気のない仕事ぶりだけではわかりかねるんだ。現部門で頑張りもせずに、ただ不満ばかりを言って希望を押しつけられても困るよ。」
A君は、それでも納得できませんでした。なぜ、希望を出していなかったB君が選ばれたのか・・。
後でわかったことは、B君も現状の仕事に不満があったのですが、不満をそのままにしないで自発的に改善に結びつけていたということでした。また、海外取引が多くなりつつある会社の実情を察知して、身銭を切ってコツコツと英会話の勉強をし、英語能力評価機関で高得点を獲得していたのです。異動した部門では、英会話ができる人材を重視していました。そういうB君の仕事姿勢を、周りの人や上司が見て評価していたのです。
B君の積極的な姿勢を知ったA君は、不満ばかりを訴えていた自分を恥じました。
松下幸之助は、花にたとえて次のようなことを述べています。

「さらによき花を、よき実りをとねがうならば、やはり土も掘らねばならぬ。タネもまかねばならぬ。肥料もやらねばならぬ。水もやらなければならぬ。何にもしないで、いい花は咲かないし、いい実はならない。」
「続・道をひらく」(PHP研究所刊)より

自分は何もしないで、これもほしいあれもほしい、もらえるものは何でももらう、そして思い通りにならなければ不平不満ばかり言う、という人が増えてきてはいないでしょうか。もし、何かを得よう、恩恵を受けたい、と思うのであれば、自分が評価されるように、また認めてもらえるようにするために、努力をしたいものです。

「奉仕なくして、投資なくして、ただ得ることのみをねがっても、これは虫がよすぎるというもの。世の中もまたこれと同じ。与えられることのみをねがい、得ることのみに汲々として、奉仕を忘れ、投資を怠るならば、しょせんは争いが起こるだけである。まずは奉仕せよ、サービスをせよ、身心をこめての投資をまずはかれ。お互いに与えあってゆくなかに、共存共栄が生まれ、人としての成功も生まれてくる。」 
「続・道をひらく」(PHP研究所刊)より

さて、自分は奉仕をしているだろうか、投資をしているだろうか、心静かに自らを問い直してみたいものです。

続・道をひらく「続・道をひらく」
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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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