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館長からのメッセージ

自分は自分
2014年10月

私たちは為になる本を読んだり、素晴らしい内容の講演会を聴いたりすると、その通りにしてみようという気持ちになりやすいですね。また、志があると、自分があこがれているタレントやスポーツ選手あるいは尊敬する学者に少しでも近づこうと、真似をするなどの努力をすると思います。
これはこれでいいことなのですが、少し心しなければならないことがあると思います。
松下幸之助は、それを次のように本で述べています。

「先年、経営者なりビジネスマンの間で徳川家康の本を読むことが流行しました。徳川家康のやり方はこういうことがいい、経営の上にも大いに役立つというので、私の周囲にもそれを読む人がたくさんいました。ある友人は私に『きみ、あれ読んだか。面白いぞ』と勧めてくれましたので、私はこういったのです。
『きみ、家康の本は面白いかもしれんが、そのとおり真似しようと思って読んだかてあかんと思う。ぼくは家康とはちがうんやから、家康やったらできることでも、家康でないぼくがそのとおりしたら必ず失敗する。だからきみも、それを一つの興味として面白く読むんなら読んでよろしい。しかしそれを真似しようとしたら、うっかりすると失敗するぞ』と」 「人間としての成功」(PHP研究所刊)より

私たち一人ひとりは、考え方生き方、また置かれている時代背景や環境も違います。だから、ある人がうまくいったからといって、自分がそのとおりやってもうまくいくとは限りません。むしろ「失敗することが多いと思う」と松下幸之助は言っています。
自分には自分の考え方・特質・置かれている状況がそれぞれあるわけですから、他の人がうまくやっているのだからと、付和雷同するような生き方をするべきではないと思います。本来、私たち人間は磨けば磨くほど光り輝くすばらしい特質を持っており、自分でそれを磨くことができます。他の生き物は自分で自分を磨くことができません。さらには、その特質は一人ひとりみんな違います(だから個性と言われるのかもしれません)。自分の特質は他の誰とも違うのですから、自分らしさを大切にしてそれを磨き、発揮していくことが、自分に合った生き方になるのではないでしょうか。
うまくいっている人のやり方を学ぶことは大切ですが、それを鵜呑みにせずに、自分だったらどうするか、自分だったらどう考えるかといった自分主体の物の見方・捉え方をして、自分磨きをしていきたいものです。

「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー展示室「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー
松下幸之助が考える“成功”についてご紹介しています

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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