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館長からのメッセージ

欲望は生きる力
2015年3月

 去年、テレビである高級料亭が紹介されていました。お店の雰囲気はいいし料理は素材を上手に生かしたものらしく見た目にも美味しそうでした。その時は、「こんな高級店でひと時を堪能できたらいいな」くらいにしか思っていなかったのですが、ある時、「いいものにたくさん触れると感性が磨かれる」と書かれた本を読んで大いにうなずくところがありました。そのことがあって、ぜひあの店に行きたいという欲望がむくむくと湧いてくるようになりました。しかし、料金も敷居も高い・・でも行きたい。どうしたらいいか・・そうだ、無駄遣いを減らして500円玉貯金をしよう・・と頑張って貯めたら一年近くでけっこうな金額になり、行けそうなところまで近づいてきました。そして、高級料亭でのマナーを知らなければと思い調べているうちに、おもてなしの心に関心を持つようになってきました。そうなると、この料亭のおもてなしを実際に体験してみたいと、ますます思いがつのってくるのでした。こんな他愛もない自身の欲望について自嘲気味に思っていたところ、松下幸之助が人間の欲望について次のように述べている文に出会いました。

「欲望は生きる力である。これがなかったらあかん。これがなかったら非常に世の中が困る。幸いにしてみなそれぞれ、相当に欲望をもっている。もっと金を儲けたいとか、もっと仕事をしたいとか、もっといい家に住みたいとか、それぞれ欲望をもっている。だから、『きみ、こういうふうにやりたまえ』と言えば、そのとおりにやる。そこで秩序が立ってくるわけである。欲のない人を使うというのは、なかなか名人でも使えないです。」 「人生と仕事について知っておいてほしいこと」(PHP研究所刊)より

 人間、欲望があるから、その実現のために努力や工夫をする。それを続けているうちに、知識や技術・ノウハウが身についてくる。さらには、どうやったら能率的にできるか、短期間でできるようになるかと考えるようになる。自分一人では難しいということが出てきたら、人の協力を仰ごうともする。こうした欲望を前向きに実践できる人は、指導のしがいもありそうです。欲望のある人は、まさに人間として磨かれ成長していくことになるわけですね。
 反対に欲望のない人というのは、何かをなそうという意欲を持たない生き方になりがちです。人によっては、人生も仕事も面白くないということにもなりかねない。確かに、こういう人だと指導が難しいかもしれません。
 そう考えると、欲望を持つということは決して悪いことではないように思えてきます。

「人間の欲望というものは生きる力であるから、これを抑える必要はない、善導することは必要であるとしても、欲望そのものは、決してなくするということを考えたらいかん、欲望は適当に培養しないといかんと、かように思うんです。」 「人生と仕事について知っておいてほしいこと」(PHP研究所刊)より

 

 私たちは欲望を良からぬかのように考えがちですが、実は自らを成長させ、会社や社会を発展させる大事な力であるという認識を持つことが大事なのかもしれません。

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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