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館長からのメッセージ

同じものは二つとない
2015年6月

 同じ樹の根からできた葉や花は、どれも形や大きさが微妙に違います。私たち人間の顔も、似たような形の目や鼻や口が同じようなところについているのに一人ひとり違って見えます。双子は瓜(うり)二つと言われますが、よく見るとどこか違うところがあります。
 このように同じようなものなのに違うということについて、松下幸之助は次のように述べています。

「会社でつくっております一つの電球、これは一月(ひとつき)に二百万個余りつくっています。同じ機械でつくり、ほとんど工程は変わらない。そこに誤差のないように、誤差のないようにしてつくりあげていますから、ほとんど同一のものができているんです。けれども、これを拡大鏡で見ますと、ほとんど全部が違って見える。これは面白いことですね。
 私は同じものが二つないというように、世の中がつくられていると思うんです。そこにそれぞれの特色というもの、個性というもの、それぞれの使命というものがある。そういうものが相交差して社会を形成している。そこに社会美というものが見いだされるわけです。」 「1958年4月4日松下電器社員への話(松下幸之助述)」より

 目に見える容姿や形が違うということは、目に見えない私たちの心や考え方はもっと複雑に違うと考えられます。このように松下幸之助は、みんな一人ひとり違うということは、それぞれのもつ使命や天分も全部違っていると考えました。
 ところが人間社会は、ともすれば型にはめたり、規制したり、統一したり、同じことをさせようとするきらいがあります。そのようなことは一面では大事なことかもしれませんが、全てをそういうように押し通そうとすると無理が生じるのではないでしょうか。それは人間の心・考え方が一人ひとりみんな違うからなのです。

「今までは、社会的な地位や名誉や財産を得ることが唯一の成功であると考えられてきたために、これさえ得ればよいというので、非常に無理な努力をして、自分の天分といいますか天性というものをゆがめ、損なう場合が多かったと思うのであります。つまり、今までの成功観には、幸福ということが無視されていたと思います。いいかえれば、幸福というものは、社会的地位や名誉や財産さえ得れば、自然についてくるものだと考えていたように思うのであります。しかしながら、幸福は必ずしも地位や名誉や財産を必要としないのであります。」 「松下幸之助の哲学~いかに生き、いかに栄えるか」(PHP研究所刊)より

 私たちは地位・名誉・財産といった一つの成功観にとらわれることなく、幸せという違った概念から自分だけに与えられた唯一の天分・使命を生かしていくべきではないのか、もしそこに生きがいや働きがいが生まれてくれば人としての成功といえるのではないかと、松下幸之助は考えました。そういったことから、私たち一人ひとりの本来の姿(持っている特質や天分)を殺してはいけないのであって、自分ならではの幸せとは何かを考え、そこに自らの天分や特質を磨き生かしながら生きがいづくりをしてはどうかということなのです。
 さて、みなさんは自分の幸せをどのように考えておられるでしょうか。

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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