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館長からのメッセージ

融通無碍(ゆうづうむげ)
2015年7月

 私のところに悩み事の相談に来られる方が、たまにいらっしゃいます。人間関係の悩みや仕事の行き詰まり等々、お聞きしているとそのつらさや困難さがひしひしと伝わってきます。私は、問題解決をするコンサルタントではありませんし、心のカウンセラーでもありませんので、ただひたすらお聞きするしかありません。
 そうした相談の中で感じることなのですが、一つの考えにこだわり過ぎておられる方がよくいらっしゃるのです。こだわり過ぎてそこから抜け出せなくなっておられる。その方の立場にならないとわからないことがほとんどなのですが、全くの部外者である私から見ても、そこまでこだわり、とらわれる必要があるのかと首をかしげることがよくあります。
 松下幸之助は物の見方・考え方について、次のように述べています。

「考えに幅がなかったら、窮屈になりますね。窮屈ということは、とらわれていることになります。とらわれたら何もできません。だから、ときには物事に執念を燃やすこともいいでしょうが、物事に執着してとらわれたらうまくいきません。お互いに、とらわれないようにしたいものです。」 「昭和58年2月4日 松下政経塾2・3年生への講話」より

 私たちは、自分の持っている知識や技術・ノウハウ、あるいは成功体験にとらわれて、それらが固定観念となって物事を見たり考えたりしがちです。また、悩み事があると、だんだんそのことにとらわれ過ぎて、狭く狭く物事を突き詰めて考えがちになります。それが高ずると無理が生じたり、壁にぶちあたったりして、にっちもさっちも行かなくなることがあります。
 そうしたとらわれた心にならないためにも、融通無碍(ゆうづうむげ)の働きのある心を持つ事が大事であると、松下幸之助は考えていました。融通無碍とは、物事に対して臨機応変、自由自在にとりくむことのできる心、言い換えれば川の流れのように障害物をサラリと回って流れる自在な心ということです。一つのことにとらわれたり、固定的に物事を見たりするのではなく、自由自在に考えるこだわらない心が大事ということです。
 私たちは、悩みがあると心が弱くなったり押しつぶされそうになったりしがちですが、今、自分の心はとらわれ過ぎてはいないか、一面しか見ていないのではないか、と考え直してみる。そして、多面的にもっと広く物事を見てみると、「こんなやり方もある」「意外な協力先が出てきた」等、次第に道がひらけてくることがあります。つまり、融通無碍の心で物事を見たり考えたり、実践していると、「悩んでも悩まない」という心境に至る事ができるのではないでしょうか。
 最近、「融通無碍とはどういうことですか?」というご質問を何度か受けることがありましたので、今回はそれにお応えするような形で述べてみました。さて、みなさんは、融通無碍をどのようにお感じになられましたでしょうか?

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昨年5月に仲間入りした観葉植物が元気で成長しています

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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