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館長からのメッセージ

社会的責任
2016年3月

 企業の不祥事が跡を絶ちません。売上・利益を追求するがあまり法の目をかいくぐる、業界ルールを無視する、手抜きをする、従業員を酷使する。そして、そういったことを隠ぺいして知らん顔を決め込む。しかし今日の社会は、マスコミや消費者等の厳しい目がありますから、いずれそれらが不祥事として発覚してニュースになり、糾弾されることになります。社会に被害を与え、迷惑をかけることが明白なのに、自分たちがよければそれでいいと短絡的に考える企業が未だに次々と現れるというのはどういうことでしょうか。全ての企業は社会の一員であり、社会発展のための使命を担っているという認識があまりにも薄いことに心を痛めるばかりです。松下幸之助は企業の社会的責任について、次のように述べております。

「社会的責任を果たしていく上で、どうしても欠かすことのできない大切なものがあります。それは、人材の育成ということです。よく“事業は人なり”ということをいわれますが、これはまことに当を得た言葉で、よき人材の育成なしには、企業はみずからの社会的責任を全うしていくことはできないでしょう。そういう意味において、人を育てるということもまた、企業の社会的責任の一つにあげられると思います。つまり、企業は単に物をつくるだけでなく、あわせて良き社会人をつくらなくてはならない、それが企業の社会的責任であり、また現に多くの企業が行っているところでもあるわけです。」 松下幸之助著 「企業の社会的責任とは何か?」1974年 非売品より

 経営者が企業の社会的責任をしっかりと受け止めて経営をしていかなければならないのは当然のことですが、企業風土が社会的責任を軽視しているようであれば、ざるに水を流すのと同じで仕事のプロセスでさまざまな問題が起こりやすいものです。社員一人ひとりが社会的責任意識をしっかりもたなければならない。そのためには、わが社は何のために存在しているのか、この仕事は何のためにしているのか、といった社会的な意義を教育していくことも大切なことだと思うのです。

「『自分の会社には、こういう大事な社会的責任があるのだ。そして自分は自分の職責を通じてその一端を受け持っているのだ。だから自分の仕事はきわめて意義のあるものだ』と考えることが大切だと思います。そう考えれば、そこに一つの使命感がわき、喜びや働きがいを持って仕事にあたることもできるでしょう。その結果、その人自身も成長していくと思いますし、また、そういう人の多い会社は、社会的責任を果たしつつ隆々と発展していくことになると思うのです。」 1958年5月 松下電器幹部社員への話より

 社会的使命を我事と考えて働いている人は、その責任感からきちんとした仕事をすると思います。また、どうすればお客様や社会に喜んでいただけるかを考えるから創意工夫もするでしょう。そのような社員が育っている企業は、次第にお客様や社会からの評価も高くなり、信用もついてくるのではないでしょうか。単に儲ければいいと考え、社会的責任を軽視している企業は、社員が育ちにくく不祥事を起こしやすいため、企業としての存続が危ぶまれるのは当然です。今一度、わが社は何のために存在しているのか、この仕事は何のためにしているのか、といった社会的な意義を社内で教育することの大切さを考えてみてはいかがでしょうか。

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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