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館長からのメッセージ

街の品位を高める
2016年6月

 年々、日本への海外からの観光客が急増しているのはみなさんもご承知のことかと思います。そのおかげで企業や地域に経済的な波及効果が少なからずあると聞いております。
 1952年(昭和27年)、松下幸之助は日本の景観美を生かし、それを世界の人に観賞してもらう施設をつくって“観光立国”の実現をはかろうと提唱していました。
 後に2006年(平成18年)、「観光立国推進基本法」が成立。そのコンセプトを環境庁は次のように紹介しています。「地域が一丸となって個性あふれる観光地域を作り上げ、その魅力を自ら積極的に発信していくことで、広く観光客を呼び込み、地域の経済を潤し、ひいては住民にとって誇りと愛着の持てる、活気にあふれた地域社会を築いていくことが観光立国には不可欠です」。
 2016年(平成28年)には、さらにそれが具体化された「明日の日本を支える観光ビジョン」が策定されています。
 観光客が世界からたくさん来ることは大変喜ばしいことです。しかし、“日本に行ってみたけれど期待したほどではなかった”と多くの外人観光客が感じるようであれば2度3度ときていただくリピーターにはなりえず、いずれは減少してしまうことになりかねません。そうならないためにも、単に経済効果を追うだけではいけないと思うのです。地域住民の意識改革も大事になってくるのではないでしょうか。松下幸之助は、「街の品位を高める」重要性も訴えていました。

 「一つの街に好ましい店舗ばかり並んでいれば、その街は生き生きと活気に満ちたきれいな街になります。街全体に好ましい環境が生まれます。だから、そうした街を美化するというか、街の品位を高めるという一段高い見地からも、自分の店舗をきれいにしていくことが大事だと思います。それは『社会の役に立つ』という商売の真の使命に基づく一つの尊い義務とも言えましょう。またそれは同時に商売の繁栄にも結びつくものだと思うのです。」 (松下幸之助「一日一話」PHP研究所編より)

 「街の品位を高める」ことは、海外からの観光客を呼び寄せるだけのためではなく、地域の誇り・愛着・発展の基本的な考え方につながると思うのです。わが街の誇りと言えるものは何かを地域全体で考え検討していく。さびれた商店街を活性化させるには、お店や役所だけでなく住民も含めた形で地域活性化という視点からアイデアを出し合う。そして、「街の品位を高める」といったコンセプトで地域住民が誇りの持てる街づくりをしていくことが大切ではないかと思います。
 観光立国を街の品位を高めるいいチャンスととらえ、地域全体の活動につながることを期待したいものですね。

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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