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館長からのメッセージ

自分ばかりしゃべってはったな
2016年8月

 松下資料館の映像ブースに、松下幸之助から直接薫陶を受けた青沼博二氏(元・九州松下電器株式会社 最高顧問)が、『自分ばかりしゃべってはったな』と語っている映像があります。その話の概略をご紹介しましょう。

 取引先の工場を見学した帰りの車中で、松下幸之助は随行していた青沼氏に言いました。
「青沼君、あそこの会社の運営はあまりうまくいってないな」
「はあ、いってないように思います。どうしてですか?」
「まあ、工場を一見したらわかるわ。それと、さっきのあの社長さん、せっかく自分が行ってるのに松下から何かを引き出そう、何かを聞こうという態度にちょっと欠けてたな。自分ばっかりしゃべってはったな」

 当時、経営の神様と言われていた松下幸之助と、経営について直接話し合える、教えを乞う大チャンスを、その社長さんは逃してしまったということです。
 私自身、この話を聞くたびに大いに反省してしまいます。めったにお目にかかることができない立派な方と会っているのに、つい自分のことばかりを話してしまい、相手から学ぶべきことがあったのに何も聞き出していなかったなあと・・。
 こうした教えを乞う姿勢について、聞き上手だった松下幸之助は次のように語っています。

 「他人(ひと)さんがいろいろな話をされる、それを心をこめてよく聞く、よく聞いてあげる。なるほどそうですかというようにすると、話し相手は話しがいがあって面白い、ますます話をする。ますます熱を入れて話してくるうちには、非常にいい話が飛び出すもんであります。そのいい話をキャッチしていくというところに、聞き上手の非常にプラスがあると思うんであります。(中略)何を話しても馬の耳に風というようにですね、心をとめてくれなかったならば、話するほうも非常に頼りないんであります。どんな話するだろうというてぐっと聞いてくださると、まあ話しがいがあるわけであります。」 (昭和37年4月9日・大阪証券研修所第一期研修会での話)

 心をこめて聞こうという心持ち、態度というものがあれば、相手もその気持ちに応えて一所懸命に話してくれるようになる、確かにそうだと思います。間がもてなくてついしゃべりすぎてしまったり、自分をアピールすることばかり考えてしまったりしていないかどうか。一期一会の気持ちで相手から教えを乞う姿勢を日々心がけたいものです。

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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