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館長からのメッセージ

良識研究所を
2016年9月

 私が尊敬する鍵山秀三郎さん(株式会社イエローハット創業者、現NPO法人「日本を美しくする会」相談役)が、雑誌『衆知』(2016年9-10月号 PHP研究所刊)で、「なぜ人は不正を犯してしまうのか」という文を載せられていました。その要旨は次の通りです。

●成果主義・結果主義の偏重が不正につながっている
  ・企業は売上・利益を重視しすぎて、企業犯罪や不正などのモラル低下を起こしている
  ・高い能力をもったスポーツ選手が、禁止薬物使用や反社会的組織との人脈による不祥事を次々と起こしている

●「箍(たが)」を締め直さなければならない
  ・「箍」があるから桶や樽はバラバラにならない
  ・バラバラになって初めて「箍」の大切さがわかる
  ・成果主義に惑わされず、本来何が大切なのか、「箍」を締め直す必要がある

●日本の「恥の文化」が「箍」の役割を果たしてきた
  ・「人に見られて恥ずかしいことはしない」が日本人の共通の美意識だった
  ・この「恥」に対する感覚がなくなってしまったことが今日の状況につながっている

●道徳を重視した教育を
  ・現代の教育は人間性を見ずに数値化した人間の能力だけを見ている
  ・数値化不可能な修身や掃除といったことが軽視され社会全体に微妙な影を落としている
  ・道徳を重視し、日本人のよき「恥の文化」の貴さを改めて認識すべきである

 確かに、企業でも学校でも数値化したものが全てであるかのように、数値で分析・測定が可能でないものは軽視しがちです。「何が正しいか」といった物の見方・考え方ができる良識を高める教育・しつけが社会全般に薄れてきており、成果・結果しかみないために不正・不祥事が起きているのではないでしょうか。こうした問題について、松下幸之助は次のような考えを述べています。

 「良識というか、良心の発揚の教育は残念ながらない。知識の教育はあっても、精神的な教育というものは必ずしも好ましいかたちになってはいない。ですから、良識がかたよるわけです。その心の動きの教育は研究していませんね。良識研究所なんてないでしょう。その研究所が必要になってきます。」 (「松下幸之助発言集」第18巻より)

 学校や企業でせっかく身に付けた立派な知識・体力・能力が、正しい方向に使われずに、自他ともの幸せを蝕んでしまう、そのような社会にしてはいけないと思います。良識研究所を待たずとも、家庭で学校で企業で良識を育むことにもっと力を入れていくべきではないでしょうか。みなさんはどうお考えでしょうか。

雑誌『衆知』雑誌『衆知』 2016年9-10月号(PHP研究所刊)
「鍵山秀三郎の幸福論」より

みなさまのご来館をお待ちしております。

公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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