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館長からのメッセージ

進歩と不平不満
2016年11月

 子どもの頃、白黒テレビがわが家にやってきた時の感動は今でも忘れられないほど嬉しい出来事でした。しばらくしてカラーテレビに変わると、技術の進化に驚きを覚えると同時にすごい時代になってきたと思いました。その後、テレビは大型・薄型・高画質・高機能へとさらに進化し続け、私たちは技術の進歩を当たり前のことのように受け入れるようになってきました。現在のテレビと初期のテレビでは、技術的に雲泥の差があります。同じように、電話や自動車なども大きな進化を続けてきました。昔に比べるとはるかに便利で豊かな機器に囲まれて私たちは生活しています。こうした文明の利器といったものが進化して物質的に豊かになるのはいいのですが、それらを利用する私たち人間の心は、はたして同じように豊かになってきているのでしょうか。豊かさの中に囲まれていながら不平不満は依然としてなくならない。もしかしたら、物が豊かでない時代の人たちよりも、不平不満を言う人がいっそう増えているのではないかと思うほどです。なぜ、物が豊かで便利になってきているのに、現代の人間は不平不満が減らないのでしょうか。
 松下幸之助は、こうした現状について次のように述べています。

 「最近の新聞には、殺人とか、自動車の衝突で死んだとか、殺風景な記事が始終載っています。非常に楽しい一日をこのグループはすごしたとか、こういう和やかな姿があったとかいうような記事はほとんど載ってません。あってもちょっとしか載ってません。反対に神経のとがるような記事は非常にたくさんあります。そういうような状態で、限りなく進歩していくという過程を楽しみ、喜び、それを感謝するという姿において動いていくのではなく、それに対して不平不満をぶちまけるような状態において動いていくということは、私は非常にもったいないことではないかという感じがするのです。」 (松下幸之助著「道は無限にある」PHP研究所刊より)

 確かにマスコミの報道を見ていると、事故や事件、さらには他者への批判など社会のよくない面ばかりを紹介している感があり、私たち読者・視聴者の心は、暗い気持ちにさせられたり、憤りを感じてしまうことが日常化しています。そのせいでしょうか、友達や家族、仕事仲間との会話に、不平不満や他者を非難したりする傾向が強く表れているように思えてなりません。社会の問題点を知ることは重要なことですが、それだけではなく社会のすばらしい事柄に、私たちはもっと関心をもつべきではないでしょうか。暗い面ばかりの報道は、“神経のとがるような人”をたくさん生みだしているように思えてなりません。心の豊かさ、幸福感につながるようなことを、マスコミはもっとたくさん伝えるべきではないかと思います。社会の良い点をたくさん報道することによって、今自分が生きていることのありがたさに、心から感謝できる人が多くあらわれてくるのではないでしょうか。感謝できるようになると、心は豊かになってくると思うのです。科学や社会が進化することのありがたさに感謝し、それを楽しみ喜べるような心の豊かさを持てるような社会づくりを、マスコミだけでなく私たち一人ひとりも心がけていきたいものですね。

松下資料館の窓から見えるドクターイエロー松下資料館の事務所から
ドクターイエローを撮影しました
みなさまも幸福になれますように

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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