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館長からのメッセージ

心の体験
2017年4月

 松下幸之助の著書「人生心得帖」の「日々の体験を味わう」という章の中に、「大成功や大失敗だけが人生における体験ではない。平穏な日々の中でも、心の持ち方いかんでは、大いに体験を積むことができる」といった要約文があります。今回はそこに書かれている内容を通して、日々の体験について考えてみたいと思います。

 みなさんは次のような体験をしたことはありませんか?

  「事前に報告をしておけばよかった・・」
  「よかれと思ってやったのになぜ嫌な顔をされてしまったんだろう」
  「あの時、どうして感情的になってしまったのだろう」
  「結局、君の言わんとしていることは何なんだ、と言われてしまった」
  「あんなことでお客さまに喜んでもらえるなんて思ってもみなかった」

 いかがですか。もしかしたら、思い当たることがあるかもしれませんね。こうした体験は日々起こり得るちょっとしたことなのですが、同じ誤りを繰り返したり、うまくいったことを次に生かせない人が少なからずいるのではないかと思います。
 松下幸之助は日々の体験について、次のような考えを述べています。

 「お互いが毎日仕事をしていく上で、“これはうまくいった”という場合でも、よく考えてみると“ちょっと行きすぎでまずかったかな”とか、“あれは失敗ではないが、もっとうまい方法があったのではないか”といったことがいろいろあると思います。そういうものをみずから反省し、味わうならば、それはそれで貴重な体験になる。そのように、小さな成功と小さな失敗とから成り立っている仕事の一つひとつをよく味わっていくならば、一見平穏無事の日々の中でも、さまざまな体験をもつことができ、それらがすべて人生の糧となって生きてくると思うのです。こうした小さな、目にも見えない平穏無事の中の体験は、いわば心の体験とでもいうべきものでしょう。」 (「人生心得帖」PHP研究所刊より)

 松下幸之助は夜寝る前に、その日あったことを日々反省していたということです。そうした反省をすることで、新たな工夫に気づいたり、同じ失敗を繰り返さないよう自らを律していたのではないかと思います。
 慌ただしい日々を送ることが多い私たちは自らを顧みることなく、毎日が流されてしまいがちです。そうならないためにも、一日あったことを反省し味わう「心の体験」をしてみてはいかがでしょうか。この実践を通して、己を律するだけでなく、自らの見識や判断力を深めることができると思うのです。心の持ち方次第で何気ない一つひとつの事を、貴重な体験に昇華させることができるわけです。「心の体験」を通して、平穏無事な日々を少しでも「良い体験」につなげていきたいものですね。

「人生心得帖」「人生心得帖」
松下資料館経営図書館にあります

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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