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館長からのメッセージ

相談調で事を進める
2018年4月

 上司が指示・命令をすることによって部下は仕事をする、それはどこの職場でも行なわれていることです。適切な指示・命令であれば、物事がうまくいく可能性が高いでしょう。しかし、上司が指示・命令ばかりしていると、部下はそれに慣れて指示を待つ受け身の姿勢に陥りがちになります。それが高じると、上司は自分のやり方に部下が従うのが当たり前だと思い込んで強圧的な態度になり、部下は逆らうことができずに事なかれ主義になることもあります。受け身・事なかれ主義が蔓延している職場では、部下が考え・工夫する力が次第になくなることから創造的な意見や提案が出にくくなります。
 ところが社会はどんどん進化しています。私たちの仕事も社会に応えるために進化することが求められます。もし、上司が一方的に指示・命令ばかりしていると、現場の状況等を知っている部下からの衆知が集まりにくくなります。その結果、上司一人の狭い知恵才覚だけで仕事が進められることになり、次第に社会の実情や進化に応えられない職場になっていきます。松下幸之助は、職場の活性化について、次のような考えを持っていました。

 「人に何か指示し、命令するにあたっては『あんたの意見はどうか。ぼくはこう思うんだがどうか』というように、その人の意見にあてはまるか、また得心できるかどうかを、よく聞いてあげなくてはいけない。そしてその聞き方にしても、相手が返事のしやすいようにしてあげないといけない。そういうところが一つのコツで、それが人を活かして使う上で非常に大事ではないだろうか。」 (松下幸之助著「人を活かす経営」PHP研究所刊より抜粋)

 上司は自分の考えを述べるとともに、相談調で部下の意見を引き出すことも大事ということです。上司は全知全能の神様ではありませんから、間違った判断をすることもあるかもしれません。それを事なかれ主義でただ受け身で仕事をしているような職場だと、失敗や混乱、問題を引き起こしかねません。上司は相談調で部下の意見・提案を引き出し、それを実際の仕事に生かせるようにもっていきたいものです。そうすることによって、現場の実態に即した判断につながり、さらに部下も我が事としてその仕事にとり組めるようになります。そういう意見・提案が言いやすい職場は、社会のニーズ・進化に適応しやすいことから、成果が出やすくなるのではないでしょうか。
 職場を活性化し、さらに成果を上げていくためには、上司は部下に対して一方的に指示・命令に従わせるのではなく、相談調で事を進めることを心がけていきたいものです。

「人を活かす経営」「人を活かす経営」
経営図書館にあります

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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