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館長からのメッセージ

掃除について
2018年6月

 たまたまネットのオンライン・ニュースで、『本田宗一郎や松下幸之助といった名経営者は整理・整頓・掃除を大事にしていた』という記事を読み、松下幸之助が次のように行なっていたことを思い出しました。ある時、工場の便所が汚いのを見て、自ら率先してそこの掃除をしたそうです。それを見た社員たちは、便所をきれいにすることが仕事の基本であることに気づき、きちんと掃除するようになったということです。彼が掃除を大事にした原点は丁稚奉公の頃だと思います。氷が張るような寒い時に、雑巾で拭き掃除をして、“ああ、つめたいなあ”というつらい思いをしながら辛抱したそうです。その辛い思いが工夫を生みだすこととなり、それが拭き掃除の技術として身について苦痛が少なくなり、やがて苦労が希望にまで変わっていったと言っています。

 「ただ雑巾をしぼってそして拭いたらそれでいいというんではありません。雑巾の水のしぼり方ということがまず第一に問題になります。ぼとぼとにしてしぼって拭いたほうがいいのか、からからにして拭いたほうがいいのかということが、自然に研究されると思います。やはりそこに適正な湿度というもの、しぼり方というもの、そういうものがあろうと思うんです。それによって拭くと、同じ拭き掃除でありましても、それが能率的であり、拭くものを傷めない。そして適当にほこりを取るということになるわけであります。そのコツが自然に会得される」 (PHP研究所刊「松下幸之助発言集」より抜粋)

 掃除といえば鍵山秀三郎氏(イエローハット創業者、「日本を美しくする会」相談役)が有名です。掃除を通して会社を大企業に育て、掃除運動を社会に広めてこられた方です。鍵山氏は自らの著書「掃除道」(PHP研究所刊)で、掃除の効用について次のように述べておられます。

 「掃除は普通、共同作業で行ないます。共同作業には連帯感と協調性を高める効果があります。自分たちの職場を、共同作業できれいにすることによって、自然に連帯感と協調性が育まれてきました。その結果、社内の人間関係がよくなったと思います。だからといって、掃除をしてすぐ儲かるというようなことはありません。ただ、掃除をして環境をきれいにしますと、職場の雰囲気が穏やかになります。穏やかな環境は、心の荒みをなくし、怒りを抑える効果があります。たとえ会社の経営が厳しい状況にあったとしても、社員の表情が明るく生き生きとしています。人によっては、見違えるほどよい人相になります。当然、家族や周囲の人に対して優しく気遣うようになります。掃除には、ただ単に周囲がきれいになるという効果だけではなく、人間を根底から変える力があるようです。とくに逆境のときは身の回りをきれいにしておくと救われるような気持ちになります」
 掃除を通して、人の心まで清らかになり、もののありがたみをも感じられるようになる。素晴らしいことだと思います。

 さて、掃除に関心を持ったならば、一過性で終わることなく継続・定着するようにしたいですね。鍵山氏は、掃除を継続・定着させるには次の三つを基本にして始めることを推奨しています
① 掃除道具をキチンと揃える
② 掃除道具の置き場所を決める
③ 工夫しながら掃除をする

 周りをきれいにしながら、心も清らかにすることができる掃除。この三つの基本を心がけて、日々実践していきたいものです。

『掃除道』(PHP研究所刊)鍵山秀三郎氏著 『掃除道』
(PHP研究所刊)

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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