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館長からのメッセージ

私の空想
2017年11月

 私には空想癖があります。最近も、次のようなストーリーを空想し始めて眠れなくなりました。

 素材中堅メーカーの創業社長として40年やってきたAさん。最近、業績が伸び悩んでおり、会社の将来に不安を抱えていました。また、まもなく年齢が70歳をむかえることもあり、そろそろ部下の中から後継者を育てなければならないと、気持ちのうえであせっていました。そこで、入社20年目の営業課長B君が伸び盛りで信頼のおける部下ということもあり、彼を後継者として育てようと考えたのです。ある日、社長室にB課長を呼んで次のような話をしました。

A「君はコンスタントに年間5000万円を頑張って売上げてもらっているね。大変感謝している。そこで君の実績を見込んでお願いがあるのだが、これからルート開拓専任になって新たに1億円売れる先を開拓してほしいんだ」
B「社長、今の倍じゃないですか。それも一からの開発ですよね。いくらなんでもそれは・・」
A「わかっている。今すぐにという訳じゃないんだ。3年間猶予を与える。そして、最後の1年間で1億円の販売ルートを開拓してくれればいいんだ」
B「しかし・・あまりにも数字が大きすぎます・・」
A「今わが社のお取引先は十年以上ほとんど同じで、売上や利益も若干減少しつつある。将来のことを考えると、安定に安住して危機的状況に鈍感になってしまうことに危惧を抱いているんだ。そこで、君の仕事姿勢を見ていて、君ならきっと安住を抜け出すキーパーソンになってくれると考えたんだ。3年間の活動費に3000万円を出そう。ただ、1年目の売上は2000万円、2年目は5000万円を確保してほしい」
B「・・・」
A「不安があるのは理解しているつもりだ。もし、3年目で年間1億円の売上先を開拓したら、その努力に報いるかたちで1000万円を特別報酬として出そう」
B「エッ、そこまで期待していただいているのですか」
A「私は君の熱意溢れる仕事ぶりに会社の将来を託してみたいんだ。1億円の売上先が開拓できたら、そのノウハウを生かして、次は経営企画室の責任者として私と一緒になって会社の舵取りを手伝ってほしいんだ」
B「社長、私で本当にいいのでしょうか」
A「もちろん、君に任せた限りは君を放りっぱなしにはしない。2週間に一度程度、私に報連相(報告・連絡・相談)をきちんとしてもらう。急ぎの案件があれば、いつでも必要な時に遠慮なく私に報連相してくれていい。ただ、その時は、“なぜそうなのか”を明確にしてほしいんだ」
B「社長、そのように私だけ特別扱いをしていただくのはありがたいのですが、他の仲間から何と言われるか・・」
A「それはそうだな。君を、社長直轄の開発営業課長として任命しよう。みんなには、君がこれからチャレンジする開拓の仕事がどれだけ重要なのか、またその重要な仕事をなぜ君にやってもらうかを、きちんと説明することにするよ」
B「ありがとうございます。では、1億円ですね。ご期待に添えられるよう新規開拓にチャレンジさせていただきます」
A「ただ、一つ心掛けてほしいことがある」
B「なんでしょうか」
A「数字にこだわることは大事だが、それにとらわれすぎてはいけない。わが社の伝統は経営理念にもあるように、『社会に役立つ会社、お客様に喜ばれる仕事、使命感をもった人材』だから、数字はお客様に役に立った結果、喜ばれた結果としてとらえてほしい。そのことを開発の基本において、しっかりとお客様の困っていることやニーズを聞き出して、それを上回るような提案をしなければならない。そして、技術担当等の関係部署や取引業者との連携もしっかりとやってほしいんだ」

 A社長は、開拓の意義と目標をきちんと明示しました。そして、会社の経営理念の重要性を確認させるだけでなく、なぜその仕事が重要で、なぜB課長にやってもらうかをきちんと社内にも理解させることを誓ったのでした。さらには、成果後の報酬やポストも明確にして動機づけを図ったのです。

 私はこんなことを考えているうちに、こんな絵空事が実際の経営の現場でできるだろうか、B課長は本当にやる気をもって取り組むだろうか、他の社員はどう思うだろうか、と頭の中がグルグルと回って眠れなくなってしまったのです。さて、みなさんがA社長を応援するとしたらどんなことをアドバイスしますか?

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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