館長からのメッセージ|松下資料館 Matsushita Memorial Library
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館長からのメッセージ

猛暑の中での仕事
2018年8月

 今年の夏は、例年以上の暑さが続いていることから、猛暑・酷暑・熱暑といった言葉が会話をするたびに飛び交い、またテレビからもそうした言葉が聞こえてきます。熱中症で倒れる人がたくさんいらっしゃるだけでなく亡くなられる方も相当数あることから、他人事とは思えない心痛む毎日です。特に、こうした異常な暑さの中で仕事をされている方には、心から「おつかれさまです」と申し上げたいです。
 経営の神さまといわれる松下幸之助も、若い頃は猛暑の中での仕事をたくさん経験しています。大阪電灯という会社で配線工事をしていた時(18歳)の思い出を、幸之助は次のように語っています。

 「ちょうど夏のまっ盛りのことでした。大阪の下寺町というところへ電灯の取りつけに行くようにといわれたのです。下寺町といえば、古いお寺がずっと並んでいるところですが、その本堂のまん中に、電灯を一つつけるというのです。その建物は二百年前に建てられたものでした。まず天井裏に配線をしなければなりません。隅のほうから天井板をめくって上にあがると、まっ暗です。しかも真夏のことですから熱気でムッとしています。屋根がやけているのです。そのうえローソクを灯して歩くと、そのたびにほこりがまいあがるわけです。二百年にもなると、天井裏のほこりは非常に多いのですね。一寸ほどにもたまっています。しかもそこは暑くて乾燥しているものですから、ほこりがたつのは当り前です。パタッパタッと歩くと、ボーッボーッとほこりがたって、それはたいへんなものでした。汗は出るし、息苦しいし、これはかなわんなともはじめは思いましたが、しかし年が若いからか、配線の工事を始めると、そういうことはいっさい忘れてしまいました。そして、配線を終えて天井から降りたときには、いうにいわれぬ爽快な感じでした。まるで地獄界から天上界へ出てきたようでした。」 (「人間としての成功」PHP研究所刊より抜粋)※編集責任:遠藤

 熱気とほこりで地獄界とも言えるような天井裏から炎天下の外に出ると、天上界と思われるほどの清涼感を感じることができた。仕事に集中していたからこそ、このような困難を乗り切ることができ、そして、終わった時には嬉しさがこみあげてきた、ということなのですね。もし、暑くてほこりっぽい天井裏で仕事をするのはまっぴらだと思っていたら、仕事ははかどらなくてイライラしてしまい、場合によっては、いい加減な工事をして不具合等でまた天井裏に入らなければならなかったかもしれません。だから、暑くても、苦しくても、自らの仕事に没頭して、なすべきことをきちんとすることが大切だと、幸之助は述懐しています。
 道路工事や屋根の上での作業、エアコンの取り付けや駐車場の案内、あるいは建設作業等、夏の炎天下やクーラーのない所でのハードな仕事はたくさんあります。こうした仕事をされている方々には本当に頭がさがります。少しでも涼しくなる工夫や水分補給等を心がけるとともに、作業に集中・没頭する気持ちの強さを持っていただければと思います。そして、こうした努力をされている方々のお蔭で快適な環境を享受できていることに、私たちは心から感謝したいものですね。

「人間としての成功」(PHP研究所刊)「人間としての成功」
経営図書館にあります

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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