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館長からのメッセージ

こわさを感じる
2021年4月

 私には、こわいものがたくさんあります。

●講話や講演をしていると、聴いていただいている方々がどのように受け止めているかが気になります。そういう意味で、お客様がこわいです。
●昔のことですが、学校の先生や上司もこわかったですね。なぜか厳しい先生・上司に当たることが多かったように思います。
●母親は優しい人でしたが、こわいなあと感じることもよくありました。時間にルーズだったりお礼を言わなかったりすると、母親は私をよく叱ったものです。
●時には、無精な自分が嫌になることもあります。そんな怠け心になる自分をこわく感じてしまいます。

 臆病だからこわさを感じるんだ。情けない。そのように考える人が少なからずいらっしゃるとは思いますが、では、もし私が“こわいもの知らず”だったらどうでしょうか。

●お客様の反応を反省することもなく、次の講演に生かそうという努力はしないでしょう。
●先生や上司から学ぼうという姿勢がなくなり、せっかく学べることを自ら閉ざして成長を止めてしまっていたかもしれません。
●母親の戒めを無視して礼儀・マナーを知らない人間になっていたことも考えられます。
●無精な自分を省みることなく、怠けた日々を送っていたかもしれません。

 “こわいもの知らず”を辞書で調べてみると、自信に満ちて何ものをも恐れない、また無鉄砲、という意味があるそうです。こわさを知らずに日々を送っていると、自らの力を過信して尊大な振る舞いをしてしまいがちです。そういう言動を繰り返していると、傲慢な人だ、身勝手で付き合いきれない、と次第に人は離れていき孤立無援になりかねません。
 松下幸之助は、この「こわさ」について次のように述べています。

「私はこのこわさを持つことが大切だと思います。こわさを常に心にいだき、おそれを感じつつ、日々の努力を重ねていく。そこに慎み深さが生まれ、自分の行動に反省をする余裕が生まれてくると思うのです。そしてそこから、自分の正しい道を選ぶ的確な判断も、よりできるようになると思います。」 (「松下幸之助 一日一話」PHP研究所刊より抜粋)

 こわさを感じたら、反省をしたり、謙虚に人から教えを請うなどして、自らを正すようにする。そこにおのずと慎み深さや心のゆとりも生まれてくるということでしょうか。
 “こわさを感じる”を前向きに考えてみるのも、人生を奥深く豊かに送る大事な物の見方・考え方のような気がします。

今年の桜散歩コースの桜が今年もきれいに咲きました

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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