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館長からのメッセージ

自らを説得し、励ます
2019年5月

 長い人生、苦しい時や悲嘆にくれる時が誰しもあろうかと思います。どうして自分だけこんなつらい目に遭うのだろうかと、心が萎えたり、自暴自棄になりかけたという人も少なくはないのではないでしょうか。
 しかし、そうした状況を嘆き続けていてもなかなか解決に至ることはありません。困難な状況を乗り越えるには、辛くても自らを励ましていかなければならないのです。本来、私たち人間は、“自らを励ます”ことができる素晴らしい特質を持っています。誰一人としてその特質を持っていない人はいないはずです。そうした素晴らしい特質を自分は持っているんだと、辛い状況に陥った時に思い起して、自らを励ましたいものです。
 ところが、“自らを励ます”とはいっても、言葉で言うのは簡単ですが、いざ実行するとなると難しいと感じる人もいると思います。では、どうやったら自らを励ますことができるのでしょうか。何かきっかけがあればいいですね。
 そこで、松下幸之助は自らの著作の中で、自らを励ますには、“自分自身への説得”が大事であると述べています。

「説得というものは、他人に対するものばかりとは限らない。自分自身に対して、説得することが必要な場合もある。自分の心を励まし、勇気を奮い起さねばならない場合もあろうし、また自分の心を押さえて、辛抱しなければならない場合もあろう。そうした際には、自分自身への説得が必要になってくるわけである。私がこれまで自分自身への説得をいろいろしてきた中で、いまでも大切ではないかと思うことの一つは、自分は運が強いと自分に言い聞かせることである。ほんとうは強いか弱いかわからない。しかし、自分自身を説得して、強いと信じさせるのである。そういうことが、私は非常に大事ではないかと思う。」 (「松下幸之助 一日一話」PHP研究所刊より)

 さて、みなさんは“自分は運が強い”と思うことができますか。例えば、他人にできることが自分にはできない。だから自分はダメだと嘆いてはいないでしょうか。しかし見方を変えれば、「できることが違う」だけだ、ということも言えるのではないでしょうか。
 松下幸之助は身体が弱く、よく寝込んでいた人でした。また、小学校を4年で中退したため高い教育を受けることもできなかった人でした。時には自分の運命を悲観したことがあったのではないかと思います。ではなぜ、松下幸之助は世界的な大企業をつくることができたのでしょうか。身体が弱いのなら、他の人にやってもらえるようにしようと考え、経営意識の高い人材を多く育てる努力をしました。学問がないのなら、謙虚に人に教えを請う「衆知を集める経営」を実践して、社会の期待に応えらえる経営をしようと考えました。変えようのない辛い運命を悲観することなく楽観して、プラス思考した人だといえます。並大抵の努力ではなかったと思いますが、「成功は成功するまで続けること」と考え、自らを説得し、励ましてきた、そういう人生を送った人が松下幸之助でした。私たちも今一度、“自分は運が強い”と自らを説得し、自らを励ます生き方をしていきたいものですね。

松下幸之助の仕事観展示室「人生の行き方・考え方/働くということ」コーナー
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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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