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館長からのメッセージ

自分ばかりしゃべってはったな
2017年3月

 松下幸之助が乗った東京発の飛行機が、大阪空港天候不良のため予定を変えて福岡空港に着陸したことがありました。せっかく福岡に来たのだからと、幸之助は当時の九州松下電器(株)に翌日行きました。九州松下電器(株)の青沼博二社長が社内を案内した後、幸之助が見に行きたいと言った会社の工場を急遽視察することになりました。その帰りに幸之助が語ったことを、青沼社長は次のように言っています。

 「『青沼君、あそこの会社の運営はあまりうまくいってないな』と、こう言われました。『はあ、いってないように思います。どうしてですか?』『まあ、工場を一見したらわかるわ』。それが一つでございます。それから二つめはですね、そこの社長さんがね、せっかく自分が行ってるのに、自分から、あの人より私の方が経験が深いはずだから、松下相談役から何かを引き出そうという、何かを聞こうという、そういう態度にちょっと欠けてたなと」(松下資料館展示室の青沼氏が語っている映像より)

 その会社の社長は、めったに会えない経営の神様・松下幸之助に偶然会えたにもかかわらず、その機会に教えを乞おうという態度に欠けていたと、幸之助は言わんとしていたのではないかと、青沼氏は語っています。
 私たちは、自分より経験豊富な人や違う立場・考え方の人、あるいは知識・知恵が豊かな人と会うことがあると思います。特に地位が高い人と会う時は、緊張して堅くなり会話もままならないことがあるかもしれません。しかし、よく考えてみるとそういう人たちとの出会いは、貴重な学びが得られる絶好のチャンスと言えるのではないでしょうか。好意をもって謙虚に熱心に教えを乞えば喜んで語ってくれる人が多いはずです。
 松下幸之助の「素直な心の内容十カ条」の中に、「すべてに学ぶ心」という項目があります。

 「素直な心になれば、すべてに学ぶ心があらわれてくると思います。いっさいに対して学ぶ心で接し、そしてつねに何らかの教えを得ようとする態度も生まれてくるでしょう。素直な心になったならば、そのような謙虚さ、積極さというものもあらわれてくるのではないかと思います。」 (「素直な心になるために」PHP研究所刊より)

 すべてから学ぼうという姿勢がないと、人と会って話していても、ただ話をするだけに終わってしまいがちです。素直な心になってあらゆることから学ぼうという姿勢があれば、日々いろいろなことから学びとることができ、そこから進歩向上につながっていくことが多くなるのではないでしょうか。相手に関心を持って、聞いてみよう、学んでみようという積極的な生き方をしたいものです。

映像ブース「人生の行き方・考え方/働くということ」映像ブース「人生の行き方・考え方/働くということ」
松下幸之助の仕事の心得についてご覧いただけます

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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