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館長からのメッセージ

即断即行
2019年10月

 永禄3年5月19日、桶狭間の合戦において、駿遠参の大大名・今川義元が、織田信長によって討たれました。5月19日早暁。今川軍が丸根・鷲津砦に攻め寄せたという報せに、信長は「敦盛」を舞うと、籠城を進言する部下たちを尻目に自ら尾張清須城を発します。今川義元率いる2万5千の軍勢に対し、信長の手勢は僅か3千。誰の目にも勝敗は明らかでした。が、今川軍が丸根・鷲津砦をやすやすと落とし、桶狭間のくぼ地に陣を布いて休息しているという情報に接した信長は、山中を迂回し、折からの風雨を衝いて突如、本陣を奇襲、義元を討ち取りました。
 軍勢や兵力の差について、歴史専門家の意見はいろいろあるようですが、信長が緊迫した状況の中で即断即行したことは事実のようです。織田家存亡の危機に、なぜ信長は部下の反対を押し切って奇襲攻撃をしたのでしょうか。
 来る当てもない援軍を待って籠城するよりも、様々な情報から判断して、打って出る方が生き延びる可能性があると信長は即決をした。それはまさに織田家当主としての重要かつ大きな経営判断だったと言えます。
 この話とは別に松下幸之助は、小田原評定について次のように述べています。

「大軍が攻めてくるということに対して、小田原城の人は、評定に明け評定に暮れてついに負けてしまったという話です。それではいけない、評定は一回でよい、あとは実行だ、そうしてこそ、はじめて成果をあげられるのです。一にも実行、二にも実行です。」 (松下幸之助著「一日一話」PHP研究所刊より)

 物事には慎重に時間をかけて進めなければならない場合があると思います。しかし情勢は刻々にうつり変わっていきます。一日の遅れが一年の遅れを生むというような場合も少なくありません。混沌とした社会情勢や国際情勢によって、いつ経営環境が変わってもおかしくない状況にあります。経営者・指導者といった人は、先を読みつつ、大事にあたって即断即行する見識と機敏な実行力が、特に今日においては不可欠の要件と言えるのではないでしょうか。

※参考:「WEB歴史街道」

松下幸之助が語る「非常時の決断」新作映像「非常時の決断」
テーマ<松下幸之助が考えたこと>に収録されています

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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