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館長からのメッセージ

お金持ちになりたい
2017年10月

 昔、私は宝くじをよく買っていました。1等が当たったら夢のような大金を手にすることができる。そう思うと買わずにいられなかったのです。大金を手にしたら、高級車を買おう、世界中旅行がしたい、高級レストランで豪華な食事を毎週しようと、宝くじを買う度に夢は大きくふくらんでいきました。しかし現実は厳しく、一度だけ1万円が当たりましたが、後は末尾番号の当たりだけで、計算はしてませんが累積で大きな惨敗を喫していたと思います。
 以前、私の友人の知り合いが3億円当たったということを聞き、その幸運をうらやみました。その人は会社勤めをやめ、自分が好きだった外車の中古車販売店を開いたそうです。また、株等に大きく投資をしてさらに儲けを増やそうとしたらしいです。そして、超ブランド品を身につけ、交友関係も派手になったと、私の友人が言っていました。
 ところが数年して、慣れない中古車商売は失敗して、大きな負債を抱えることに。また、投資は大胆な勝負が次々と裏目に出て大損をしたそうです。あげくのはてに、借金に借金を重ねて離婚をし、ある日突然、姿を消してしまいました。
 その話を聞いた時、私がもし大金を一度に手にしていたら、自分も似たようなことをしていたかもしれない、と自らを反省し、気持ちを引き締めたことがありました。
 お金や物の欲はある程度はあってもいいと思いますが、度を超すと際限がなくなってしまいます。私たちはお金持ちになればたくさんの物を得ることができて幸せになれると思い、お金持ちをめざします。しかし、お金持ちであっても幸せを感じない人生を送っている人が少なからずいます。先の宝くじで大当たりした人にいたっては、一度に大金を手にしたことから舞い上がってしまったのか、物やお金に心がとらわれてしまって、大事な人生を破滅させてしまいました。人間は途方もない僥倖(ぎょうこう)を得たり、大成功が続くようになると、調子にのって過ちをおかしやすくなるものです。
 人生は一度しかありません。お金や物をたくさん得たからといって必ずしも幸せになれるとは限らないのです。確率の低い一攫千金を得ることに血眼になるよりも、日々の小さな幸せに感謝しつつ、毎日、自らを励まし、鍛えて、辛抱強く着実に生きることも大事なのではないかと思います。こうした小さな努力の積み重ねによって、人生を振り返ってみればよく頑張ってやってきたなという充実感と幸せ感に包まれるようになるのではないでしょうか。こうした小さな幸せを感じられるような謙虚で前向きな生き方をしたいものです。
 私は今でも、一年に一度だけ宝くじを買って、1万円が当たるささやかな幸運を夢見て人生を楽しんでいます。

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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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