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経営研究活動

松下幸之助生誕120年・松下資料館創設20周年 記念講演会 「感動が生まれるおもてなしの心」

「極める時代のホスピタリティ ~ミッションが働きを決める」


例えばこの松下という会社。できる前とできる後とでものすごい価値に変化が生じています。そしてこれがPHPという形をとり、今はもう世界中に広がっているひとつの哲学になっていますよね。だから新しい価値がどんどん生まれている。会社が存在している意味がそこにあると思うんです。

じゃ、リッツカールトンが最初にそれを考えたときには、例えばホスピタリティという概念が、もしリッツカールトンが開業する前と後とで人々の中に何か違った捕らえ方をしてくれるような変化を起こしたとしたならば、これはリッツカールトンがはるばるアトランタから大阪までやってきて開業したことの意味が、価値があるんじゃないか。このことをずーっと最初から考えながら仲間とやってきて、今ようやく実感しているのは、いろんな業界がホスピタリティという言葉、サービスという言葉、おもてなしという言葉を普通に使う時代になってくれたということです。

一番遅かったというふうに私が言ってるわけではなく、その業界の方がおっしゃってる。医療業界、最近ホスピタルホスピタリティって言ってますよね。舌かみそうですけどね。ホスピタルホスピタリティというタイトルで、今、年間に4回から6回くらい講演に呼ばれます。一番多いのが済生会です。明治天皇が作られた病院ですよね。済生会病院が一番多いです。もうすでに出来上がっているところもいっぱいあります。福井の済生会病院。病院とは思えないくらい、ものすごい変化を遂げています。

もちろん私がお手伝いをしなくても、川越にある川越胃腸病院なんてのは、日本中から今見学者が行きたいんですが行けない病院です。小さいので患者さんの迷惑になるというので、みんな自粛されています。でも、見学に行くために病気になる人がいます。私の友人そこに入院しちゃいました。「先生、腹痛いんで診てくれ」仮病ですよね。でも、そのくらいの価値のある、そういう病院を作っている方も出てきました。これもすごいことだなと思います。でもそういうふうに、ひとつひとつ『以って為す』。そこの川越胃腸病院は、あるいは福井済生会病院は何を以って何を為しているんだろう。そう考えていくと、それぞれの哲学というものが見えてきます。心柱ですよね。でもこれはですね、きちんと考えていかないと勘違いをしてしまうんです。

例えば、私よくタクシーに乗って、長距離に乗ることがあるんですね。20分とか30分とかね。そういうときには運転手さんとお話をします。その時に運転手さんに、この人答えてくれそうだなという運転手さんですよ、「運転手さんにとって使命ってなんですか」とかね、聞いてみるわけです。そしたら「えーっ、お客さん面白いこと聞きますね」とか言って、「我々の使命感ですか。それはもちろんお客様を安全に迅速に目的地までお届けすることですよ」ほとんどの方がそうやってお答えになります。でもよくよく考えてみると、それは使命感かなーっていうことに気がつくんですよね。お客様を安全に確実に目的地まで届けるというのは、これは使命感ではなくて業務義務だと思うんです、私は。あるいは業務責任といってもいいと思います。これができていなかったら、そもそもお金もらえないわけですから。それは使命感ではなくて業務責任かなぁ。もちろんそんなこと運転手さんには言いませんよ。「あー、そうですか。いい使命ですね」って言いながら、「そうかな?」って思ってるわけです、ひとりで。

じゃ、使命になりうる考え方、哲学ってなんだろうと考えていくと、私は京都のMKさんと長野の中央タクシーの、この二つをいつも思い浮かべるんです。長野の中央タクシーの宇都宮会長は3年間京都に通うんですね。MKの会長のところに。今でもお師匠さんとずーっと呼んでますけれども。3年間にMKのすべてを学んで、「中央タクシーをMKを抜くタクシーにする」と宣言された方です、会長に向かって。「長野で抜きますから」「おー、頑張ってくれ」と言われたそうです。「そういう会社が増えなきゃいけないんだ、世の中に」とはっきり言われたので、「頑張ります」と言って、今相当頑張ってます。ここの方たちに例えば同じ質問したときの答えはまったく違ったものが返ってきます。「使命感ってなんですか?」「お客様の人生に、命がけで向き合うことです」って返ってきます。入って1年目の子でも10年目の選手でも、15年目の人でも。そんな人少ないんですけど。お客様の人生に命がけで向き合うことが私たちの使命です。違いますよね、これね。まったく違うんです。つまり目的と手段という言い方に変えてもいいと思います。お客様の人生に命がけで向き合うことが我々が存在する目的であり、安全確実にお届けするのは、その手段にしか過ぎません。だから業務責任であり、業務義務だろうというふうに思うんです。

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