松下資料館 トップページ>資料館のご案内>経営研究活動>活動内容

経営研究活動

松下幸之助生誕120年・松下資料館創設20周年 記念講演会 「感動が生まれるおもてなしの心」

「極める時代のホスピタリティ ~ミッションが働きを決める」


それで何を話をしているかというと、「会長、この会社にいてほんとにありがたいと思うよ。あの人にどんだけ教えてもらったか分からない」と言って指差す方向には、自分の先輩がいるんです。あの人の仕事ぶりからどんだけ学んでるかわかんない。あの人のお客さんに対する言葉、お客さんに対するしぐさ、振る舞い、すげーよ。どれだけ学ぶかわかんないよ、と言って5分くらい話して帰って行くんです。

今度また他の人が来て、また注ぎながら話してるんです。「あの人こんなことやったの、会長知ってるかい?」と言ってまた他の人の自慢が始まるんです。「あの人この間ね、誰々さんの息子病院連れて行って、こんなことがあってね・・・会長たぶん知らないんじゃない?」「俺、聞いてないよ。そういうこと言わないしな」

要は、来る人来る人全部自分の仲間自慢なんです。自分の自慢なんか誰もしやしない。「俺、こんなことあった」なんて、一人もいない。「あの人はすごいよ」「あの人から学んでるから、この組織にいて我々はうれしいよ」古い人も「こんな会社になるとは夢にも思わなかった」っておっしゃってます。そこで二十何年働いている人がいるんです。昔の荒れた時代を知ってるんです。結構タクシー業界も荒れてるところ多いですからね。昔はみんな夏なんかステテコとランニングで着てね、どこで着替えるのかと見てたら、そのまんま運転して出て行っちゃう。そういう運転手さんがまだいた時代、そういうのを知ってる人がいるわけです。

今、そんなことはありえない。お客様を乗っける大事なリビングルームなのに、そのお客様のリビングルームのすぐ横で、運転席で御昼ご飯食べてるような人も昔はいたそうです。今、中央タクシー、そんなの一切いないです。必ず外で食べて戻ってくる。だからその中に変な食べ物の匂いとか残ってることは一切ない。でも、そんな簡単なことに長いこと気がつかなかったり、今でも気がついていないタクシーさんが東京なんかで時々います。木の下で休んでるなと思ったら、中でご飯食べたりしています。あれ、お客さんのリビングルームなのにな。自分はそこをお借りして仕事させてもらってるという意識がないんだな、ということに気がついてないんですね。

たとえば、そういうところに自分の気持ちがいく人といかない人がいる。そしてそういうことを大事にしている企業と、そういうことにまったく無頓着な企業がいる。何が違う。哲学が違うということです。すべては哲学が決めるというのは、そこに大きな理由がある。哲学通りの働き方をみんなするわけです。

これは危険な発言になるかもしれませんが、たとえばですが、たまに昔のリッツカールトン大阪のお客さんから私電話をもらいます。もうやめて6年以上経ちますんでね、あんまり言わないんですけど、こないだの食品偽装の時にはものすごい勢いでメディアから電話かかってきましてね。覆面でいいから出てくれとかね。対談出てくれとかね。それは申し訳ないけどお受けできない。なぜそんなことが起きたんだろう。これは私はっきりとは答えられなかったんです。答えることはできたんです。でも答えなかったんです。今、ここで言います。みなさんツイッターしないでくださいよ。時々そういうふうに言われることがあるんです。最近ちょっとリッツ変わったよねとかね。ちょっとおかしいんじゃないのとかね。駄目になってくるんじゃないのと言われることがたまーにあります。そうではないんです。働き方が変わっただけなんです。なぜか。哲学が変わったからです。リッツカールトンが97年に開業した後は、ずっとリッツカールトンの哲学でやってきました。だからその哲学どおりの働き方をみんなしてくれたんです。

« 講演会へ戻る