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経営研究活動

松下幸之助生誕120年・松下資料館創設20周年 記念講演会 「感動が生まれるおもてなしの心」

「極める時代のホスピタリティ ~ミッションが働きを決める」


うちの田舎もそうです。私は28年生まれですから、まだ戦後数年ですよね。しかも長野の奥地のほうの山中で、戸隠村なんていうとこで育ってますからね。もうほんとに、まだその辺にある土蔵が真っ黒に塗られてました。夜襲を避けるためですよね。夜、爆弾落とされないように、B29が白いのが光るとそこに落とすんだからといってね、土蔵から何から真っ白なものを全部真っ黒に塗って、その黒いのが残ってるその時代です。だいたい三世代が住んでるんですね、そのころの田舎ってね。じいちゃんてのは面白いですよね。我々がほかの家に遊びに行くとね、顔が見えた人間に声かけるんですよね。「おー、お前来てたのか。お前、登だったなぁ。ちょっと悪いけど俺の煙草盆持ってきてくれ」

こっちも勝手知ったる他人の家ですから、じいちゃんの煙草盆確かあそこにあったな。そこに行って、煙草盆、そこにこう煙管とね、昔は刻みタバコですよね、缶に入ってる。それをポンと置いてね、持ってきたんです。そうするとビシッと言われるわけです。「お前、火どうやってつければいいんだ」「あっ、そうだマッチだ」というのでね、急いで戻ってマッチ探して持ってくわけです。「はい、じいちゃん、マッチ」「お前、灰どうするんだ」「あっ、そうか、灰皿だ」というので、今度は灰皿探して持ってくわけですよ。

で、ピシッと揃うわけですね。「ああ、悪かったなぁ。ありがとな」と言って頭の一つも撫でてくれるわけです。そうするとほかの家に遊びに行ったときに、またじいちゃんに「誰か煙草盆持ってきてくれ」言われるとね、真っ先に煙草盆と刻みタバコと煙管とマッチと灰皿。ビッシッと揃えて持ってくわけです。「お前は気が利くなぁ」と言ってまた褒められるわけです。なんか子供心にもそういうのってとってもうれしいんですね。

親ではないです。じいちゃん達は村の子供達に何をしてくれていたのかというと、感性と心の筋トレの機会をくれてたということですよね。ここまでは考えなきゃだめだぞ。何か一つ言われたら、そのもう一つ二つ先まで考えてやらなきゃだめだぞ、ということをそういうふうに行動で示してくれてたんですね。

今、このリンクが壊れている。うちの田舎でも壊れています。インディアンのことわざにすごいのがありますよね。一つの国が、一つの部族が滅びていくときの兆候がある。それは何か。おじいさんと孫が会話をしなくなっているとき。これインディアンのことわざで有名ですよね。おじいちゃんと孫がきちんと会話をしなくなっている。その部族が滅びる。その国が滅びる。どうも最近日本見てるとね、怖いなと思いますよね。

そして国が滅びていく一番の最初の兆候が何かというと、子供が少なくなっていくことですよね。今日本で起きてますよね。子供が増えていかない、子供を産みたくないという世代、私の周りに結構います。もっというと結婚したくないという人、私の周りに結構います。それはいろんな事情があって結婚しないという選択をしている。でもあえて結婚して子供を育てて、いい家庭を作っていくという社会環境の中のひとつの気の流れが、どうも正しく起きていないような気がする。

なんかこの地域に住んで、この町の、この村のここの住人として、ここの街の中で自分の子供を育てて、こういうようなことをというように頭の中で正しく夢が描けないような、そういうような空間がいっぱいあるような気がしてしょうがないです。もったいないですよね。日本人本来の和を以って尊しとす。この和が、どうも怪しい状態になってるんじゃないかなという気がします。だから原点に戻る。極める時代というのはおそらくそういうことじゃないかなと思います。

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