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経営研究活動

松下幸之助生誕120年・松下資料館創設20周年 記念講演会 「感動が生まれるおもてなしの心」

「極める時代のホスピタリティ ~ミッションが働きを決める」


例えばこういう例でお話しします。アメリカの軍隊に大きな空母があります。海軍の空母ですよね。そこから飛行機が飛び立ったり降りたりする。長いものになると、何百メートルってあるんですね。滑走路付きですから。最大級のものだと、五千五百人以上の人がそこに寝泊りしてる。すごいですよね。私が産まれたときの戸隠村の人口が四百人でしたから、何十倍。ひとつのヴィラの中にですよ。そういう大きな空母を動かす上で向きを変えなきゃいけない。どうやって舵をとったらいいか。想像つきます?普通に舵をきりゃいいだろう、思いますよね。何が起きるか。舵がきれないんです。舵をきろうとすると、あまりの強烈な水圧で舵が元にもどっちゃうんです。舵きることができないんです。

そこでトリムタブという物が発明されたんです。舵そのものにつける小さなスクリューです。いくつか付いてます。この小さなスクリューをずーっとまわし続けるんです。そうするとその舵をスクリューが少しずつ少しずつ少しずつ押していきます。そうやって舵を動かして方向を変えていきます。このことに気が付くと、会社と一緒だなという事に気が付きますよね。会社が変革を起こしたい。改革をしたい。新しい理念を入れたい。大きな会社になればなるほど抵抗勢力があって、「やろうぜ!」といってスタートしても、一年くらいでまた元に戻っちゃう。舵と一緒です。舵きれないです。

その時に会社の中にトリムタブがいたら、○○します。これ絶対やったほうがうちの会社のためになるよね。この組織良くなるよねと言って、周りのやつは「あんなことやったってどうせ変わりぁしないよ」と言ってる時に、「いやいや、そんなこと無いと思うよ」といって回り続けるスクリューが要ります。このスクリューが、一人、二人、三人、四人、五人増えていくと、気が付かないうちにその組織の中の体質が、少しずつ少しずつ変わっていくことがある。

変革というのはトップダウンで始まってボトムアップで完成しますよね。でも、トップダウンだけでは舵はきれない。ボトムアップで完成するためにはこういうトリムタブが何人そこに出てくるか。そして経営者のもうひとつの責任は、そのトリムタブをきちんと探してあげる。そのトリムタブをきちんと探して評価して、動きやすい状況を作ってあげる。そしてもっと増やしていく。これをやったのがおそらく、これは私の推測ですけれども、稲盛さんのJALの改革ではないかと、私は実はにらんでおります。そしてトリムタブにもなりたくない。その中での変革もいやだという人は、辞めていきました、ずいぶん。

でも、現場の人たちの中でそういう思いを持ってる人たちが、どんどんどんどん「こういうこともやったら」「こういうこともやったら」という人たちが動いていったんではないかな、と私は推測しています。まだ稲盛さんに確認していません。でもそうとしか思えない。あれだけの大きな組織が、あれだけの短い期間で舵をきれる理由。絶対に抵抗勢力で戻っていったはずなんです。でも戻らなかったのは、トリムタブがたくさんできたからじゃないかな、と私は考えます。そう考えると、PHPのやっている仕事ってなんだろう。世界中にトリムタブを作り出してるのかなぁ。PHPとして大きな舵がありますよね。でも、この方向がいいなと思ってる人たちが世の中にたくさんいて、その人たちのトリムタブをきちんといろんな形で、いろんなところに集まれる場をつくったり、たとえばこういう場所を提供してもらっていたり、ということではないかなというふうに私も勝手に推測しています。

そういう中で、今日は短い時間だったんですけども、皆さんにお話をさせていただいて、この場を共有させていただいた。ほんとにうれしい時間でした。このご縁がまた先に続いていくことを祈りながら、年末ですから、よい年の瀬を皆さんお過ごしになりますようにお祈りして、終わりにさせていただきます。以上です。ありがとうございました。

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