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経営研究活動

松下幸之助生誕120年・松下資料館創設20周年 記念講演会 「感動が生まれるおもてなしの心」

「松下幸之助のサービス哲学」


たいへん短いですけれども、しかしこれを見て私はいつも思うのですが、ビジネスを一言で表した言葉だなあと。松下電器(パナソニック)も一つの綱領を作っておりますけれど、それを優しく言えば、これかなあという気がするんですね。愛されるために奉仕すると言っていますよね。いかに奉仕するか。これは企業だって個人だって同じだと思うのですけれど、いかに奉仕するか。何で奉仕するか、何によって奉仕するかということですけれども、メーカーですと、やはり一つは製品で奉仕しなければならない。いかにいい物を作っていくか。日々新たに改良を加えて喜ばれるものを、ためになる物を作っていかなければならない。当然それはメーカーでしたらあるわけですね。

その次に奉仕するものは何か、やはり価格。リーズナブルな価格をつけられるか。その事に成功していかなければならない。

もう一つ、最後はサービス。いかに徹底的にサービスをしていくか、ということです。このサービスというのは、幸之助さんの場合は、相手が喜ぶ、あらゆる事だったという気がするんですね。相手が喜ぶ事すべて。相手が喜ぶことはどんなことかというと、いろんなことがあると思うんですけれども、例えば笑顔である。やはり恐い顔をしているよりニコニコしている方が、相手は喜んでくれるわけですよね。あるいは言葉も、良い言葉で声かけをしていくということも一つでしょう。あるいは身だしなみとか、そういうことも一つでしょうね。あるいは誠実さとか謙虚さとか、いろんな事があると思うんですよね。相手の人によって、また違うかもわかりませんけど。そういうもの全てを含んでおったなあという気がいたします。これはほとんどお金がかからないことなんですよ。身だしなみとか、そのへんになってきますと、いくらかお金がかかるかもわかりませんが、しかし声をかける、笑顔、別にお金がかからないわけなんですね。

「雑宝蔵経(ぞうほうぞうきょう)」というお経の中に、これもご存知の方が多いと思いますが、無財の七施というのがございます。お布施というと普通、お金とか、あるいは物でお布施するわけですね。しかしそういうのは無くても出来ますよと、七つあげているわけです。一つは眼施(がんせ)、眼で、慈しみの眼でサービスする。和願施(わげんせ)、笑顔でやっていったらいいんじゃないか。それから愛語施(あいごせ)、これは言葉ですね、良い言葉で接する。それから身施(しんせ)、これは不自由な方の手を引いてあげるとか、そういうことでしょうね。心施(しんせ)、心の施し、慈しみの心で接していくと。それから床座施(しょうざせ)。床座施というのは、席を代わってあげる、バスの中とかで代わってあげるということですね。それから最後の房舎施(ぼうしゃせ)というのは、今はなかなか出来ないですけれども、宿を貸してあげるという、今やったらとんでもないことになる可能性がありますので、ちょっと出来ないかもわかりませんけど、そういうことで、お金が無くてもできますよということですね。

言わばこれらのサービスといいますか、そういうことを幸之助さんという人はやってきたのではないかなあという気がするんですね。ですから、いかに良い製品にしていくか、価格をいかにリーズナブルなものにしていくか、そして相手に喜んでもらえる所作、全てですね、どうしたら喜んでもらえるのかということをずっと考え続けてきた。最初、幸之助さんが事業を始めた時には、本当にお金も何もなかった。自分が貯めた百円の資金と、そして友達から百円借りてやったと言いますけれども、すぐお金は無くなってくる。何も無い所から出発したわけですね。ですからお金が無くても出来ること、喜んでもらえる事、そういう事を必死になって探してきたのではないかと、そんな感じがします。

私の体験の中から考えてみると、初めて会った時の一言というのがたいへん記憶に残っているわけですけれども、そのときの印象はね、先ほど背広をきちんと着て、頭も七三に、というふうに言いましたけれども、たいへん瀟洒(しょうしゃ)な人や、スマートな人や、身だしなみにたいへん気を遣っている人やなあという感じがしました。身だしなみにたいへん気を遣っている。

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