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経営研究活動

松下幸之助生誕120年・松下資料館創設20周年 記念講演会 「感動が生まれるおもてなしの心」

「松下幸之助のサービス哲学」


これはお得意先に対してももちろんそうです。京都国際会議場で代理店会議があった時も、担当者の人から、「先代が亡くなって、あの人が後を継がれた新社長さんです」というようなことを耳打ちされて、それで、つかつかとその社長さんのところへ寄って行きまして、「あんたのお父さんは頑固な人やったで。そやけどようやってくれはったわ。わしはほんまに感謝してるんや。ああいうお父さんやから、いい後継者が出来るんやな」というようなことをそっと言ってね。そうしますと、その人は悪い気がしませんわね。「頑張らないかん」ということになると思います。そういう言葉がすっと出てくる。これは本当にいい面ばかりを探してないとなかなか出てこないだろうという気がするんですね。それが、幸之助さんの考え方といいますか、習い性になっていたのではないでしょうか。

私も松下電器に入って、オリエンテーションの時に、初めて会長であった幸之助さんの講話を聞きました。当時600人ぐらい入りましたので、後ろの方からですけど。話の内容はあまり覚えてないんですけど、一つだけ覚えているのは、「家に帰ってお父さんやお母さん、あるいは親戚や友達に、良い会社に入ったということを言いなさい。そりゃ松下電器にも悪い面もあるかもしれない。しかし良い面もたくさんあるはずだ。そういう所を探して言えは、家の人もたいへん安心してくれるし、友達も、〝そんな良い会社か、それやったら良い商品が出来るやろう。なら買おうか〟ということに繋がってくる。良い循環になるんだ」という話でした。良い面を見て、とにかくそれを言っていく。そこに好循環が生まれてくる。それも一つ真理なのかなという気がいたしております。

先ほど真々庵でいろいろなお客様と接したと言いましたね。その点に関して、2ページ目の下から三つ目の言葉。「接客の基本はかゆいところに手が届く心配り」というのがあります。「宴席での座布団のそろえ方が悪ければ、お客様が来られる前に自分から直しに行くくらい気をつけないといかん。また会議でも、資料の並べ方、席の配列、すべてのお客さんの立場に立ち、ほんとうに喜んでいただけるように配慮する。お土産がある場合には、吟味に吟味を重ねて、満足してもらえるものを持って帰ってもらわないといけない。そうでないと人をお呼びする資格はないな」と言っています。「かゆいところに手が届く心配り」、松下さんらしい言い方だなあと思うんですね。真々庵では、本当につくづくそういうことを感じさせられました。

だいたい何時にお客さんが来られるというのがわかっていますからね。我々は、お客様が来られる前に掃除をするわけですよ。庭の掃除を。徹底的に掃除をするわけですね。特に松下さんが言っておりましたのは、「見えない所までやらなあかんで。掃除の名人になれ。掃除にも名人があるんやで。何か一つ壁を乗り越えると何か悟るものがあるんや」とよく言っていました。まず掃除をする。そして、真々庵のこれが家屋ですね。ここで研究会とかお客様を接待したりするのですが、ここが玄関ですね。お客様が来られたらここでお出迎えして、そして庭に降りられて庭を一周まわって、そしてここへ入られる。だいたいこういうルートです。それを幸之助さんがずっと案内しながら、説明しながらここへ入ってくる、ということなんですね。ここは苔が結構多いんですけど、砂利道が作ってある。通路が作ってあるわけです。そこへ水をまくんですよ。来られる前に打ち水をするわけですね。ホースでやるわけですけど。その指示の仕方が「濡れ過ぎてもいかん、乾きすぎてもいかん、程よい具合に湿らせないといけない」というのがありまして、だから来られる時間がわかってますから、だいたい時間を計って、ちょうどいいぐらいの、何分ぐらい前にまいたら一番いいかということで、まくわけですね。しかし大きな飛び石みたいなのになると凸凹がありますので、水溜りができたりするんです。そういう時は雑巾で拭いたりもしました。そういう指示がありました。

それと十畳の座敷ですけれども、結構広く見えました、周りに廊下がありますから。団体で、団体と言っても多くて10人ぐらいですけど、団体で来られる時は、座敷に入られるわけですね。そのときには、座布団を使いますが、その座布団の並べ方ですね、これについてはいろいろ注意されました。私も知らなかったんですけど、座布団の裏表、まず裏表を間違ってはいけない。それから座布団の前後ろをきっちりやれということです。それまで座布団に裏表、前後ろがあることを知らなかったんですけれども、確かにありますね。座布団の縫い目が見えないようになっているわけですね。上手いこと考えてある。それをずっと並べていくわけです。それが真っ直ぐ揃ってないといけない。それを真っ直ぐ揃える。そのへんの所を注意せえよと。だから我々は二人で、こっち側とこうね。「三つ目がちょっと出ている」と、そんなことを言って直していた時もありました。

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