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経営研究活動

「グローバル人材育成 ~世界とロジックで対抗する

「グローバル人材育成 ~世界とロジックで対抗する

立命館大学 特別招聘教授
薮中 三十二氏

現在、京都を中心にして若い学生達と「グローバル寺子屋」を開催している。
議論の中で「世界は反グローバル、反グローバリゼーションの流れになっている。今更、グローバル人材育成は必要なのか?」といった問いかけがある。
なぜならイギリスでは反EUとしてヨーロッパで行われていたグローバルの流れに反旗を翻した。
米国では、トランプ大統領が反自由貿易・反移民ということで、グローバルな世界にはほど遠い。

グローバリゼーションは戦前の保護主義とかブロック経済が戦争を引き起こしたという反省から1944年ブレトンウッズ体制から始まった。
金融ではIMF、開発では世界銀行、貿易ではインターナショナル・トレード・オーガニゼーション(ITO)であり、その後、ガット体制で私たちは関税を引き下げることをやってきた。
世界を広く自由に導いていこう、国際的にやっていこうといった流れが1960年代ケネディーラウンドであり、1970年代東京ラウンド、ウルグアイラウンドであった。
一貫して世界の流れというのはグローバリゼーション、自由化・自由貿易を志向し、保護主義の圧力・誘惑を排除することであった。
基本的には物の自由化であった。つまり物品をお互いにもっと安く、関税もないほうがいいとしてきた。
そして全世界が関税についても同じルールでやることを目指した。
21世紀に入り、単に物だけではなく金と人の自由化が進んだ。
金は金融の自由化としてビッグバンがあり、その上ITが来たことにより大きく金が動き始めた。
人の自由化としては例えばEUではEU内の人の移動は自由になった。
北米のNAFTAにおいても自由化が進む。
アメリカは経済を強くするために移民を増やしていった。
IT革命で中国人・インド人の移民が増えた。農業などに安い労働力としてメキシコ・中南米からヒスパニックが入ってきた。
ヨーロッパでもEUの中でそのような形で移民が増えていった。
ブレグジットやトランプを生んだのはその反動といえる。
物も人も金もどんどん自由化することにより格差の発生が起きた。
金の格差として、人が入ってきたことにより職を失う。これらがイギリスのEU離脱・トランプ大統領の登場となった。
以上が反グローバリゼーションに至った流れだと思う。
しかし日本は全然違う。
お金のやりとりは多いが、日本に対する直接投資は大変低い。
移民・人の動きはほとんどゼロであり、移民は人口の2%弱である。ドイツでは約20%は外国籍、アメリカでもヒスパニックが17から18%である。
日本ではそのようなことが全くないが、反対に少子高齢化でどんどんマーケットは小さくなっていき、世界を相手にせざるをえない。 企業は圧倒的に海外市場が大事である。
だからこそ日本は今からグローバリゼーション、グローバルに戦っていく人材が必要といえる。

自著「世界に負けない日本」で述べているように、そのためには・英語力 ・情報力 ・「個」の力 ・ロジック力 ・人間力が重要。
英語力といえば、日本人は英語の勉強にかけるお金と時間は世界一だと思うが、結果として英語をしゃべれない人を生み出している。
これを変えるには私は中学校の英語の教科書を暗記すればだいたい英語は出来ると確信している。
とにかくしゃべればいい、使えばいいだけ。文法なんてどうでもいいぐらいに思った方がいい。
もちろん文法もちゃんとした英語をしゃべる方が国際的にはいいに越したことはない。
実際には国際舞台で議論してみると、ちゃんとした文法の英語なんか使っている人は少ない。
次に、きちんとした情報をもたなければいけない。
世界で何が起きているのかというきちんとした情報をもたなければならない。
次に個人、「個」が際立たなければいけない。
やはり国際社会は、みんな全部日本と同じように考え、同じような雰囲気だといった感じ方ではだめだ。 自分というのがあってそれがきちんと個が際立つようなことがなければいけない。
そのうえでロジックだと。
ロジックを持ってしゃべることだと。ロジックは世界の共通語だと思う。
今回もまた起こっている。
トランプ及びトランプ政権の周りの人が急に日本の自動車市場だとかいろんなことから日米経済戦争といい始めている。
私の方にもいろんなところからインタビュー依頼がくる。
外務省で北米第2課長をやっていた時に、日米経済摩擦の主管をしていたが、当時の状況と今の現状と比べて話をしてほしいという依頼である。
当時も今回もそうだが、とにかくアメリカに理解を得られるかどうかという発想である。

きちんと日本の立場をロジックを持って「なぜ、自分たちはこうなんだ」と主張しなければいけない。
相手に単に理屈抜きで「何とかうちもちゃんとやってますからよろしくお願いします」と理解を求めても意味がない。
ロジックとは? 学生に言っているのだがSpeak outしろと。その時にはSpeak out with logicだと。
それが結果としてOutstanding performanceと言われるようにやれと。
訳すると発言しろと。論理的に話せと。すばらしいパフォーマンスといわれるようにやれと。
ただ、普通の日本語にするとあいつはおしゃべりで、理屈っぽくて目立ちたがり屋ということにもなる。
日本では最悪の人種になり、日本ではうまくいかないと思うが、世界の国の人と交渉なりやっていく時にはそれが必要なんだと。
グローバル社会ではそれが必要なんだ。
絶対にダメなのは言い訳をすることであり、少しでもポジティブなことをいうべきである。

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