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経営研究活動

「グローバル人材育成 ~世界とロジックで対抗する

「グローバル人材育成 ~世界とロジックで対抗する

立命館大学 特別招聘教授
薮中 三十二氏

1990年の日米貿易摩擦の時も同様で、"相手がどのように言ってくるか。それにどう応えるか"相手にガンガンやろうとはしない。得意でない。今回どうするかに対しては"いちいち騒ぐな""いちいち騒ぎすぎるな。もっと冷静にみておけばいい"と言いたい。
彼の選挙期間中に言ってきたことは「俺たちの富を奪っている。悪い取引をやってきた。それは中国だ。」
そう言った後で日本、メキシコと言う。日本は物のついで。日本の新聞を読んでいると今や対日貿易赤字が一番の問題であるかのように受け止めてしまう。
中国はじっとしている。言えば言うほど当方が問題になって、相手も何かそうだなという話になる。
自動車にしてもフォードは日本に売ろうとは考えていない。無理だと思っている。一番やりたいのは為替で円を高くすることを含めて日本からの輸入を高くして日本車をやっつけたいのがねらい。まともな議論はできない。
私はアメリカ人に「あなた方はアンフェアーである」と言いたい。
というのは、アメリカ人は私に対して「日本はアンフェアーである」とよく言った。
「対日貿易赤字500億ドルだ、このままだと日本を締め出すぞ」と。あれだけジャパンバッシングをやったのに3千何百億ドル赤字の中国をなぜバッシングしないんだと。
そうすると面白いことを言ってきた。一つは、当時アメリカに日本の友人がいなかった。今、中国には友人がいる。
アメリカがなぜ貿易赤字、経常収支の赤字になるかというと、日本は、あなた方は使いすぎてちゃんと貯蓄しないからそういうふうになるだけの話とマクロ的に言うが、アメリカでは誰も相手にしてくれない。「日本が悪い」とこればかりだった。
アメリカ政府には中国人は毎日のように何十人も来るが、滅多に日本は来ないからと言われてしまった。結局、中国市場とかの問題もあって、中国との貿易赤字が問題ではないという擁護者がいる。
もう一つは、“日本は言うとすぐに反応するが、中国はいくら言っても全然反応しない" 今回のケースでも貿易赤字NO1の中国は反応しない。
しかし「アンドジャパン」と小さくほとんど付けたしの日本は大騒ぎしている。もう少し相手をよく見てうまくやらないといけないと思う。
今、この反自由貿易のトランプさんに対して日本は何をすべきかと言うと、経済については大騒ぎするなというのが正しいのではないかと思う。
我々はアメリカの良き市民だと言えばいいわけである。たとえばトヨタはインディアナ州に工場があるが本当に日本からの投資を歓迎されている。
サンキュートヨタ、サンキュージャパニーズカンパニーといってくれるはずだ。そういった働きかけ、段取りをもっとすべきなのに、あまりにも反応しすぎると思う。
次にトランプさんは中国をどうするかだが。中国を為替操作国に認定するかどうか。選挙期間中中国が為替介入して不当に人民元を安くし大儲けして、我々から富を奪っていると言った。
中国を為替操作国と認定したら中国の猛反発を招き米中貿易戦争となる。そうすると米中交渉が始まると思うが中国にはいろいろ交渉の材料があって、まとまると思う。
"俺がやったら素晴らしい成果があがった。"といったトランプさんの勝利宣言があり、米中関係が劇的に改善する可能性がある 。但し、台湾問題、中国の過剰反応などによる想定外の事態も考えられるが、トランプさんにとってトレード・貿易がすべてである。
次に、トランプさんにとって安全保障と貿易というと、貿易の方が上である。本来、安全保障は金には代えられないんだと考えるのだが、同盟関係もお金を払わなければ破棄するぞと言っている。
トランプさんの発想はとにかくアメリカファーストであり、理念なき力の外交である。従って、何回言われてもロシア・プーチンを擁護しロシアとの関係改善を図ろうとしている。
日本はこれからどう生きていくべきか。アメリカとの同盟関係だけで頼っていけるかどうか。
トランプさんの頭の中はとにかくアメリカファーストであって同盟関係は何か格別なもので、何かあった時にその同盟国に対し防衛するといった意識は薄いと思う。
NATOさえ時代遅れで何のために必要なんだと。
こうした動きの中で、結局のところ中国とどう向き合うかといったことを日本は考えなければならない。大国化する中国、発展してきた中国。日本は中国と協調できるか。
世界は圧倒的に中国が大国化するのは当たり前だとみている。特にヨーロッパでは共通の価値観である。そこにマーケットがあるからで、アメリカもビジネスは中国に向かっている。
日本だけが、中国は信用ならないぞとか思っている。中国とは一定の協調関係、協力関係を持つべきだと思う。
2008年6月 日中が東シナ海ガス田について共同開発しようと合意した。重要なのは、当初中国は東シナ海全部が自分の海だと言っていたが、我が国は国連海洋条約によれば話し合って決めると書いてあり、間に中間線を引くのが妥当と主張。
対立していたがこの中間線の間でガス田の共同開発の話となった。これは中国が中間線を認めてはいないが意識したということではないか。
中間線は東シナ海を2つの海にわけるということで中国の海洋進出に対しても重要なことである。残念ながらまだ条約には至っていないがその合意の実施を進めるべきである。

これからの日本の針路「三本足打法の勧め」 1、日米同盟堅持政策
今までのように何かあればアメリカが助けてくれるということではなく、日本が自ら自分の頭で考えて実行
2、日本の防衛力整備
例えば、尖閣の周りに自衛隊ではなく海上保安庁の能力を3倍にするとかである。自衛隊を尖閣にもっていくと、戦争状況をつくりだすので、基本的には今までやっている防衛を2倍、3倍にすればいい。
3、中国との協力関係
中国が変なことができない状況をつくりあげるのが、大きな日本の安全保障だと思う。
東シナ海は中間線で2つに割っておき、尖閣の周りは自分で守る体制をつくり協力関係を結ぶ。
ASEAN諸国は日本を信頼している。(ASEANにおける世論調査 最も信頼できる国 日本33% 中国5%)
ASEANが困るのは、中国と日本が喧嘩して"どっちにつくんだ"といわれること。一番いいのは日本にリーダーシップをとって欲しいと。
日本がリーダーシップをとって、よりオープンなルールを提示するといったことが、これからの日本の進むべき道ではないかと思う。
トランプ政権というのはそうしたきっかけをつくってくれたし、日本人一人ひとりに問われていることではないかと思う。

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