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館長からのメッセージ

人間たるゆえん
2021年3月

 人間は、自分の利益になることに心動かされる一面があると思います。接待を甘んじて受ける公務員。裏金を受け取る政治家。株のインサイダー取引で儲けようとする投資家。仕掛ける方も享受する方も、共に自らの利益だけを考えている訳です。高い教育を受けてきた人たちなのに、あるいは高度なノウハウを身につけた人たちなのにです。このように自分の利益だけのため、言い方を変えれば自分本位の生き方をしている姿は、どんなに高度な知識があったとしても、人間としての価値を問われてもしようがないのではないでしょうか。
 社会が刻々と進化し、文化も高まり、教育も行き渡るようになっているのに、こうした自分の利益優先の生き方をしている人が減らないのはどうしてでしょうか。

 本来人間には、自分の利益や欲望を節してでも他のために動くという面をもっているはずです。多額の金を積まれても、社会のためにならないとか、他の人に迷惑をかけるということで固辞する人がいます。あるいは、仕事で身につけてきたノウハウを生かして、自らの信念に基づき無償で社会に役立てる活動を晩年送っている人もたくさんいます。企業においては、社会に貢献できる仕事に徹するという従業員教育を熱心に行っているところがたくさんあります。他のために迷惑をかけない正しい判断をしたり、社会に役立つ活動をするということは、人間としての優れた価値があると言えるのではないでしょうか。

 社会が進化し続けるためには高度な知識やノウハウが求められますが、もう一つ人間として求められるのは「社会に役立つための正しい考え方」をすることだと思います。そのためには、社会道徳や倫理といった教育を重視しなければなりません。家庭で、学校で、会社で、あるいは地域社会で教え合う文化を育みたいものです。人間が人間たるゆえんは、本能のまま自分本位で生きることではなく、自分の欲望を節してでも他のために働ける強い心を持つことではないかと思います。まずは人間たるゆえんの考え方ができるよう、日々意識したいものです。

3月の青い空と白い雲3月の青い空と白い雲

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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