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館長からのメッセージ

『好奇心』と『気づき』
2021年11月

 今年のノーベル物理学賞を受賞された眞鍋淑郎さんは、気候変動予測の礎を築いた方です。その研究を通して世界中の多くの人が気候変動が原因による問題(洪水・干ばつ・火事・熱波・台風等)に気づくようになりました。眞鍋さんが信念としてきたのは「約60年にわたって気候の研究を続けてきた原動力は好奇心だ」ということでした。

 発明王として有名なトーマス・アルバ・エジソンは、蓄音機・白熱電球・キネトスコープ等、生涯で1913件もの特許発明をして歴史に名を残しました。少年時代、好奇心の塊だったエジソンは、質問攻めをして先生を困らせ、「問題児」のレッテルを貼られ、小学校をわずか3カ月で退学。その後は、母の教育で育ちました。「なぜ風は吹くの?」「なぜ魚はおぼれないの?」「なぜ星は落ちてこないの?」というように、疑問に思ったことや興味をもったことを、気が済むまで徹底的に掘り下げて、百科事典などで知識を得たり、実際に経験してみたりして学びを深めていったそうです。エジソンにとって、“なぜ”と“好奇心”はつながっていてセットだったのかもしれません。

 ホスピタリティで有名な帝国ホテルにも触れてみたいと思います。東日本大震災が発生した時、帰宅困難となった2000名の方々のためにロビーや宴会場を開放されたそうです。現場のスタッフたちは上からの指示を待たずに、率先して椅子や毛布だけでなく備蓄用の飲料水や乾パン、携帯電話用充電器等を用意したそうです。調理のスタッフたちは翌朝、身体が温まることができればと避難者全員に野菜スープを振舞いました。日々のホスピタリティの実践を通して常に気づきの習慣があるから、素晴らしい気配りが行なわれたのだと思います。

 こうした事例から学べることは、強い『好奇心』や『気づき』が、いい仕事への道につながっているのではないかということです。もし、『好奇心』が湧かない、『気づき』がないと嘆かれる方がいらっしゃるようでしたら、エジソンのように「なぜ」を繰り返してみてください。必ずや『気づき』が生まれ、『好奇心』も生まれてくるはずです。「なぜお客様はこんなことをおっしゃるのか?」「なぜ十年一日のごとく同じやり方をしているのか?」「なぜ二度手間を何度もしているのか?」と問うてみましょう。いろんな『気づき』が生まれてきます。『気づき』があれば仕事は面白くなってくるものです。

 私たち人間には、本来、無限の可能性が秘められています。『好奇心』を持ったり、「なぜ」と問うて『気づき』を得たりして、工夫・改善・開発を楽しんでみましょう。そこに充実した生き方が待っていると思いたいですね。

<参考>「讀賣新聞オンライン 2021年10月5日」、「コミック版世界の伝記『エジソン』」(ポプラ社)、「致知 2021年8月号」(致知出版社)

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫

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