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館長からのメッセージ

前を向いて歩こう
2023年2月

 私の大好きな曲の一つに、歌手坂本九さん(私は九ちゃんと呼んでいます)の『上を向いて歩こう』があります。作詞は永六輔さん、作曲は中村八大さんという当時のゴールデンコンビによる楽曲を、九ちゃん独特の歌い方で大ヒットしました。アメリカのビルボードチャートで3週間1位を獲得したほど世界的な人気を獲得した曲です。
 私は悲しい時、自らを励ましたい時に、よく口ずさみます。こぼれ落ちそうになる涙を、上を向いてこらえようとする堪え忍ぶ人の姿がイメージできて共感することができるからです。

 さて、京都駅周辺はたくさんの人で混雑しています。スマホでゲームやチャットをしながら『下を向いて歩いている』人も大変多く、よくぶつかりそうになります。中には、スマホに夢中になっていたがために電車や道路での人身事故を引き起こす人もいます。さすがに危険ですから上を向いて歩けとは言えませんが、下を向いて歩いている人たちに『前を向いて歩こう』と叫びたくなります。
 スマホは大変便利なものですが、混雑している往来で、歩きながらゲームやチャットをするのはいかがなものでしょうか。生活で使われる様々な機器がどんどん進化しているのはありがたいことですが、公衆マナーが低下しているのは嘆かわしいことです。機器は進化し、人間は後退していく。このままでは、荒んだ社会になりかねません。公衆マナーや人間としてのあり方を教える“人間教育”を、家庭や学校、さらには企業・公共団体も行うべきではないでしょうか。
 『前を向いて歩く』ことによって、周りが見渡せて四季の移り変わりや環境の変化に気づくようになります。また、人に対して配慮をする心も生じてくるのではないでしょうか。『下を向いて歩く』よりも、『前を向いて歩く』方が断然メリットが大きいと思います。

 1985年の飛行機墜落事故によって、九ちゃんは43歳で帰らぬ人となりました。事故の1カ月ほど前に、仕事の関係で九ちゃんから私に電話がありました。いつもの元気でさわやかな話し声で、明るい気持ちになったのを思い出します。だから、『上を向いて歩こう』は悲しみをこらえるだけでなく、私を元気にしてくれる大好きな曲でもあるのです。

新作映像「感謝の心」を監督、出演者が視聴庭園シアターの新作映像「感謝の心」の監督、出演者が来館。
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松下資料館 館長 遠藤紀夫

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