松下資料館とは

館長からの
メッセージ

悩み事相談

 松下資料館で仕事をしていると、悩み事の相談に来られる方がたまにいらっしゃいます。私は本来、カウンセラーやコンサルタントではないため、きちんとしたアドバイスはできませんので、基本的にはお断りしているのですが、なかには「お聞きするだけ」という条件でお話を伺うことがあります。

 例えば、若い人の悩み事で多いのは、仕事が面白くない、やりがいを感じないというケースです。その理由は人それぞれなのですが、個人的にいつも感じるのは、『その仕事の意義を考えたことがない』とか『熱意・努力が足りない』といったことです。
 「あなたの給料は誰が出してくれていますか?」と質問すると、「社長」「会社」と答える人が多いです。「本来、あなたの給料は、お得意先やお客様が出してくれているんですよ。商品やサービスを買ってもらわなければ給料はもらえないでしょう」と言うと、みんな「ハッ」と気づいてくれます。

 仕事というのは、お得意先やお客様に役立つため、喜んでもらうためにあり、その結果として給料をいただいていることを理解してくれます。
 また、その道のプロフェッショナルである、という自覚がない人もいます。社会は進歩し続けているのですから、お得意先・お客様の期待に応えられるよう、仕事に関する新しいあるいは応用した知識・技術を、先手をとって積極的に身につけることは必須のことです。しかし、与えられたことだけをやっている、という人が少なからずいるように思います。

 中には、仕事で感動したことがないという人もいました。新しいことにチャレンジしたり、提案をしたりして、前向きに仕事をしていると、目の前に大きな壁が生じることがあるものです。それを乗り越えるための努力をして成果を上げてきた人は、お客様や上司から感謝されたり褒められたりして、仕事に感動を覚えたり面白味を感じるものです。そういう人の多くは、役立つ仕事をしようという『強い熱意』があります。悩み事を話される方には、こうした『熱意・努力が足りない人』も見受けられます。

 プロ野球のトップ級の選手や大御所と言われる歌手や俳優の方々は、「お客さんに喜んでもらいたい」そのために「技術を磨こう」、さらには「一流としての高みをめざそう」と、大変な努力をし続けておられます。働く私たちも生きがい、働き甲斐を得るには、こうしたプロフェッショナルとしてのチャレンジ精神を持つことが大事ではないかと思います。仕事に悩むことがあったならば、「何のためにこの仕事をしているのか」「一流の知識・技術をもって仕事をしているか」「役に立ちたいという強い熱意をもっているか」といったことを、自らに問うてみてはいかがでしょうか。
 最近、相談に乗ってほしいという方が少なからずいらっしゃるので、私なりの雑感を書き連ねてみました。

講話室入口の「松下幸之助の言葉」が
秋の装いになりました

みなさまのご来館をお待ちしております。

公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫