松下資料館とは

館長からの
メッセージ

極端な低い評価

来日された外国人の多くが、「日本の食べ物は美味しい」と言ってくれます。B級グルメから懐石料理に至るまで、きりがないくらい美味しい物がたくさんあり、「食」に関して言えば、日本は世界の中でもトップクラスだと思います(世界中を旅した訳ではありませんが・・)。
 私も年に何度か国内旅行をしますが、旅先でご当地グルメを食べるのが楽しみの一つになっています。
 特に最近思うのは、どの料理も味のレベルが昔に比べると格段に上がってきていて、「不味い(まずい)」料理にお目にかかることは滅多にありません。

ところが、私とたまに食事をする知り合いの話なのですが、人気料理店で私が美味しいと思った料理を、よく「不味い」と言うことがあります。味の好みは人それぞれですから、その知り合いは口に合わないことが多いのでしょう。「美味しいけど」と私が言うと、その人曰く「普通の味だから不味い」のだそうです。「普通の味」だったら、「不味い」って言わなくてもいいのではないかと思いますが、「不味い」の一点張りです。楽しく食べていた私の気持ちが、「不味い」の一言で落ち込んだことが何度もありました。

最近、飲食店のクチコミを見ていると、ほとんどの人が「美味しい」と高評価をしているお店の料理に「不味い」と書き込みをしている人がいました。その人だけが最低ランクの評価です。もしかしたら、好きな味ではなかったのかもしれませんが、他のお客さんとの評価の差が大きすぎることに、私は違和感を覚えました。お客さんに満足してもらおうと料理人が一生懸命に工夫した料理に対して、たくさんの人が見るクチコミで、営業妨害になるような書き込みをするのはいかがなものでしょうか。どうしても気に障ることがあるのであれば、そのお店に手紙を出すとか直接提案するとかすればいいのに、と思ってしまいます。

私が子どもの頃に比べると、食の事情は格段に良くなってきています。飽食の時代と言われて久しい今日この頃ですが、多くの人が美味しくいただいている食べ物に、自分の口に合わないからと言って極端な低評価をするべきではないように思います。世界には飢餓で苦しんでいる人がまだまだたくさんいます。食の豊かな中にある私たちは、食べられることにまず感謝をするべきであって、「不味い」という言葉を安易に使わないよう心掛けたいものです。

花があると自然と笑顔になります

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫