松下資料館とは

館長からの
メッセージ

侍ジャパンで思ったこと

先般行われたWBCの侍ジャパンの活躍から、私はたくさんの感動をもらいました。準決勝でのメキシコ戦のまさかの大逆転。強力な大リーガーを揃えたアメリカと互角の戦いを繰り広げた決勝戦。最終回2アウトで、アメリカが誇る打者トラウト選手と大谷投手との一球一球の勝負は見ごたえがありました。プロフェッショナル同士の戦いに、野球の醍醐味をみなさんも感じられたことと思います。

では、侍ジャパンの選手たちは、なぜ感動的な偉業を成し遂げることができたのでしょうか。大谷選手のコメントの中に、「WBCに出場して優勝することが夢だった」という言葉がありました。彼には明確な目標があったことがわかります。この目標を達成するために、プロ野球選手になる努力を惜しまなかった。さらにはアメリカの大リーグで通用する選手として自らを鍛えぬいてきた。夢に向けて、技術面だけでなく精神面においての成長を怠らなかった。大谷選手だけでなく侍ジャパンの選手たちは、自ら掲げた目標に向かって同じような努力を積み重ねてきたことでしょう。
 そこで私なりにプロフェッショナルとはどういう人か、そのポイントを挙げてみたいと思います。

  1. 人生の目標を明確に持っている
  2. 目標に向けて常に鍛錬を怠らない

「あなたの人生の目標は何でしょうか?」と聞かれたら、すぐに答えることができるでしょうか?意外と、目標を明確に持っていない人は多いのではないでしょうか。今からでも遅くはありません。「自分の人生の目標は何か?」を考えてみましょう。10年かかっても見つからないかもしれませんが、あきらめずに問い続けることが大事です。問い続けていれば、今やっている仕事から気づきを得ることができるはずです。

松下幸之助も、家業として仕事をしていた時は、「社会一般の通念に従って仕事をしていた」と述べています。そして昭和7年に、知人の誘いで天理教本部に行った時、信者の方々が給料をもらわずに教祖殿建築に汗水を流して奉仕しているのを見て衝撃を受けたのでした。「宗教には聖なる使命がある。では、松下電器にはどういう使命があるのか」を考え、そして気づいたのです。「便利な電化製品を多くつくって、社会から貧乏を克服することが使命ではないか」(下記【所主告辞】参照)。その使命こそが、松下幸之助の人生の目標になり、力強く事業を推進する原動力になりました。

私たちの給料は、お客様や社会からいただいています。お客様や社会に役立たない仕事をしていれば、給料はもらえません。そういった意味から、私たちはプロフェッショナルとして仕事をしているのです。喜んでいただける仕事になっているか、役立つ仕事の進め方をしているか、日々その問いかけをしながら鍛錬をしていくことが私たちの心がけとして大事だと思います。現在やっている仕事を通して、侍ジャパンの選手のように自らの人生の目標が見えてきたら、仕事も人生も今よりもっと面白く、充実したものになるのではないでしょうか。

【所主告辞】抜粋(昭和7年5月5日 所主 松下幸之助) ※現代文字に改めています。
凡(およ)そ生産の目的は吾人(ごじん)日常生活の必需品を充実豊富たらしめ、而(しこう)して其生活内容を改善拡充せしめることを以て其主眼とするものであり、私の念願も亦茲(またここ)に存するのであります。

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公益財団法人 松下社会科学振興財団
松下資料館 館長 遠藤紀夫