松下資料館とは

館長からの
メッセージ

肯定語と感謝の言葉を

講話の後に質疑応答をすることがあるのですが、「職場で他者攻撃や否定的な言葉が飛び交うことが多くて居心地が悪い」といった意見を何度か耳にすることがありました。確かに否定的で嫌な思いをさせる言葉を発せられると、聞いている方もネガティブな暗い気分になりがちです。しかし、発言している人は"相手に嫌な思いをさせている"ことに気づいてないものです。一般的に、人は自らを客観視するのが苦手で、自分のことをあまり知らない傾向があります。では、そうした否定的な言葉が飛び交う居心地の良くない職場を変えていくにはどうしたらいいのでしょうか。

ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表(侍ジャパン)のラーズ・ヌートバー選手(たっちゃん)をみなさん覚えてらっしゃるでしょうか。彼の積極的なプレーや、明るい爽やかなコミュニケーション力が、チームメイトをリラックスさせてプレーを楽しませる一助を担っていました。彼のポジティブで熱い言動が、周りに与えた好影響は大きなものがありました。ヌートバー選手は、日本語が十分に話せないし、WBCの前まではほとんどの日本選手との交流がなかったにもかかわらず、侍ジャパンの一員として誰よりもチームに打ち解けて楽しんでいました。

居心地の悪い職場を変えるには、ヌートバー選手の姿勢は大いに参考になるのではないでしょうか。自分自らが、ポジティブな言動を進んでしてみるのです。例えば、「できるような気がします」「なんとかなるでしょう」「大丈夫だと思います」といったように、まず否定しないで肯定語を使ってみる。こうした肯定的な言葉を発し続けていると、自分の潜在意識が活性化されて自己肯定感の強い自分に近付くことができると思います。周りの否定的な発言に同調ばかりしていると、否定的な側面を見る目ばかりが育ってしまい、自分も否定的で攻撃的な発言に終始しかねません。肯定的な言葉を意識して使い続けていると、少しずつ周りも否定的な発言が減ってくると思います。
 また、「ありがとうございます」といった感謝の言葉も事あるごとに言ってみたいものです。しょっちゅう言い続けていると、ささいなことでも感謝できるようになります。また、言われた側も、必ずポジティブな気持ちになることでしょう。
 物事には否定的な面も肯定的な面もあります。どちらを選ぶかは自分自身です。ポジティブつまり肯定的な言葉を使い続けていると、周りの人たちも影響を受けて変わっていきます。楽しい人的交流にも恵まれてくると思います。
 「できない」「絶対に無理」「でも」「そうは言っても」といった否定語は避けて、肯定語や感謝の言葉を使う習慣をつくっていきたいものです。次第に、職場も人生も楽しく明るくなっていくのではないでしょうか。

この内容は、私が敬愛する自己肯定感カウンセラー第一人者である中島輝氏の新刊「口ぐせで人生は決まる」(きずな出版刊)によるところ大です。中島さん、ありがとうございます。

『口ぐせで人生は決まる』(きずな出版刊)
中島 輝氏著

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松下資料館 館長 遠藤紀夫